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教師が知るべき心理学の話「マシュマロテスト②」

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マシュマロテストの続きです。ミシェル氏のマシュマロ実験にはさらに続きがあるのです。
マシュマロテスト①についてはこちらをどうぞ

教師が知るべき心理学の話「マシュマロテスト①」

マシュマロテスト②

ミシェル氏は同じ被験者を対象に、継続して研究を行っていました。最初の実験から40年後、ミシェル氏を含む心理学者チームが『PNAS』に最新の研究結果を発表したのです。気になる最新の研究とはマシュマロ実験の被験者60名を対象に、遅延能力が高かった人と低かった人の脳神経レベルでの違いを調べたものでした。

ゴー・ノーゴー課題

研究の主実験には、「ゴー・ノーゴー課題」(go・nogo task)というよく研究されている手法が用いられました。被験者は、さまざまな表情をした人の顔を短時間ずつ見せられた。最初は男性と女性の顔を見せられ、どちらかが見えたときにスペースキーを押すようにと指示されました。
※性別は分かりやすく、特に感情を呼び起こす刺激ではないため

テストは特に難しいものではありませんでした。しかし、ゴー・ノーゴー課題の中でも「認知ではなく感情に訴える」場合において大きな差が現れたのです。被験者は、笑顔を見てもスペースキーを押さず、悲しい顔を見たときだけ押すように指示されました。被験者は相手の感情を読み取り、考えてから行動に移すことが求められます。実験の結果、4歳の時、マシュマロテストで満足の遅延に長けていた被験者のほうが、笑顔を見てもキーを押さないことに成功した確率がはるかに高かったのです。フォールス・アラーム(false
alarm、誤反応)率の差は、キーを押す刺激(ゴー)が数回続いた後に押さない刺激(ノーゴー)が来るなど、難度の高い状況において最も顕著に認められた。つまり遅延に長けていた被験者は、感情的刺激による衝動に影響されにくかったことがわかったのです。

この実験データを踏まえて、研究チームは次に、被験者24名の脳をスキャンしながら再びゴー・ノーゴー課題を行いました。
結果は予想どおり、満足の遅延に長けていた被験者のほうが、下前頭回の活動量が増大を示しまし。下前頭回は、衝動を制御し、望ましくない行動を抑制することに関与する脳の領域です。しかもこの差は、難度の高いノーゴー刺激において特に顕著にみられたのです。この実験により、満足の遅延能力の高い被験者は、衝動に抵抗するにあたって、最も適切な脳の領域を利用していたことがわかったのです。 もうひとつ観察された脳の違いは、腹側線条体にかかわるものです。腹側線条体は、コカインからマシュマロまで、さまざまな報酬の処理に関与していると以前から考えられている領域でした。満足の遅延能力が低かった被験者は、笑顔を見せられたときにこの領域の活動量が増大したのです。つまり、4歳のマシュマロテストで成績の低かった人は、大人になってからも「外からの誘惑」に敏感に反応する事がわかったのです。
・・・興味深いですね。しかし、この研究は考え方によっては、学校教育の存在意義を揺るがすものです。4歳児の段階で、大人になってからの能力まで決まってしまうのですから・・・成人被験者にみられたような脳の違いは、ほとんど生得的なもので、幼いうちから決まってしまっているのなら学校教育は、何を目的に行うべきなのでしょうか?しかし、4歳児以降に努力して身につけた能力が全く意味がないわけではないことを私たちは経験上知っています。
適切な幼児教育が、その後の自制心を向上させる効果があることも示されています。学校教育もそうですが、私たちはマシュマロに抵抗できるような幼児教育を考える必要があるのかもしれません。

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