花粉管の観察実験は、体細胞分裂の実験と並んで成功度の低い実験です。今回、一緒に研修を受けたトニー先生が花粉管の伸長実験を繰り返し行い、成功率の高い実験方法を確立させました。今回はトニー先生の花粉管の伸長実験の方法を載せたいと思います。
花粉管の観察実験を成功させる方法
(花粉管の伸長の様子)
1.観察に適した花
<冬>
(1) サザンカ
花粉量が非常に多く、採取が容易である。生垣としていろいろなところで植えられているので、集めやすい。花粉管伸長までに3時間は必要である。散布後、3~6時間に観察すると、花粉管が振動しながら伸びている様子が簡単に観察できる。
(2) ツバキ
サザンカ同様、花粉量が非常に多い。花粉管伸長までに3時間は必要である。
<春>
(3) ホウセンカ
花粉量が非常に多い。実験開始から1分後には花粉が発芽し、花粉管の成長速度は極めて速い。アフリカホウセンカ(インパチェンス)がいいという報告が多いが、園芸種の中には花粉をつけない品種もあるため、注意が必要である。
☆注意☆
キク科、イネ科の花粉管の観察は非常に難しい。
2.花粉の採取
さらさらとした花粉が最も発芽率が良い。やくが開ききっていて、乾燥した花粉は発芽率が低くなる。また、雨の日にとった花はやくから培地に花粉を散布することが困難である。
2週間冷蔵庫に保管していたサザンカの花粉は、発芽率が1/2 になった。新鮮な花粉が望ましい。
3.培地
水溶液性の培地よりも寒天培地の方が発芽率が良い。
10%寒天培地のつくり方
①ビーカーにショ糖(市販の砂糖でよい)10gと寒天1.0gを入れ、これに水を加えて100mlにする。寒天の粉末が透明になるまで加熱する。
②シャーレに、厚さが1mmくらいになるように流し込む。(厚すぎると観察しにくい)
☆注意☆
スライドガラスで観察する時は、寒天培地を置いた後、カバーガラスをかけておかないと水分が蒸発し、花粉管が伸長できなくなる。
トニー先生によると花粉管を伸ばすためには、酸素と水分の両方が必要になるそうです。教科書に載ってあるスライドガラスの実験では、砂糖水に花粉が沈んでしまったり、水分が蒸発したりしてなかなか成功しないそうです。
トニー先生!全国の理科の先生に代わりお礼申し上げます。ありがとうございました!
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