ふたばのブログ〜理科教育と道徳教育を科学する〜

55円電池で思考力を育む

time 2016/01/11

思考力を育む授業をテーマに研究授業を行いました。今回は私が行った55円電池を扱った研究授業の内容をご紹介します。

無人島で生き残れ!〜55円電池で思考力を育む!〜

3年生化学変化とイオンの単元の総まとめとして行いました。
はじめにプロジェクターで「無人島で生き残れ」を見せます。↓
無人島で生き残れ」は私がパワーポイントで作ったお話です。下に話の概略をを書きますね。

内容

無人島で不時着した主人公カップル(主人公には学年の先生の名前をつけると盛り上がります)が、偶然にもSOS発信機を見つけます。しかし電池が入っていない!このピンチを、理科を一生懸命勉強した主人公が55円電池を作って乗り切り
無事生還するというお話です。
「無人島で生き残れ」を見せた後に
「今日の授業では、みんなに主人公がどのように電池を作ったか考えてもらいます。」
と説明をしてワークシートを配りました。
個人で予想と55円電池の設計図を書かせた後に班体型にさせて実験道具を配ります。↓

実験に使う道具

ビーカー、食塩、水、10円硬貨5枚、1円硬貨5枚、ろ紙、電子オルゴール(SOS発信機)
今回は、食塩水はこちらで作って配りました。また、ティッシュはすぐに破けてしまうので代わりにろ紙を使いました。
順番に自分の設計図を試して、失敗した場合は班で「なぜ失敗したのか」考察を繰り返して正解を見つけるように指示します。この、失敗から何かを学ぶということを生きていくなかで大切な能力だと思うのですが、これが苦手な生徒が本当に多いです。このような力を実験や学校生活で培いたいですね。

55円電池の作り方

①食塩水をつくる。濃さは適当で問題ありません。
②ろ紙を食塩水に浸す(ビチョビチョでOK!)
③まずは10円玉と1円玉を1枚ずつつかいます。硬貨の間に食塩水で濡れているろ紙を挟んで一つの化学電池を作ります。↓

④同じものを5組作ります↓

⑤なぜ5組も電池を作るのか?理由は電圧です。↓11円電池では電圧が小さく電子オルゴールを鳴らすのに十分ではありません。
  
⑥↓この電圧の問題を解決するために11円電池を5つ重ねて電圧を上げたものが55円電池なのです↓

10円→ろ紙→1円、10円→ろ紙→1円・・・の順番です。
いやぁ、1円と10円という身近なもので電池が作れるのは本当に面白いですね。
生徒にやらせてと中々成功しません。20分くらいして、やっと6班中1班といった具合です。
生徒がよくやる失敗は
  1. ろ紙を破かず硬貨を、サンドイッチすることに気づかない
  2. 10円→ろ紙→1円→ろ紙→10円→ろ紙→1円→・・・のように無駄なろ紙を挟んでしまう
  3. ろ紙が大きすぎてろ紙同士が接触(もしくは1円と10円が接触)させてしまい、電池にならない
  4. 10円がプラス極(銅とアルミではイオン化傾向の高いのはアルミ)ということがわかっていない
などが挙げられます。これらの課題を自分たちの力で解決できればいいのですが、やはり生徒にはは難しいです。
そのため、実験の段階を見定めながら教師からヒントを与えます。番号ごとに説明すると、

1、ボルタ電池を見せる

これでほとんどの生徒はろ紙は破いて使うことがわかります。

2、電圧を上げるために電池を直列につなぐことに気付かせる

生徒にやらせるとこのミスが最も多いです。1円、ろ紙、10円を重ねることはわかっても、その仕組みがきちんと理解できていないからです。ヒントとして、「電池は11円でも作れます・・・でも、電子オルゴールを鳴らすためには55円必要です」と伝えます。これでもわからない場合は「理由は電圧が足りないからです」→「電池を直列に繋ぐと電圧が上がる」→「11円で電池を作り、それを5つ直列に繋ぐ」というようにヒントを与えていきます。

3、周りにはみ出た紙を取り除かせる

上記した1、2をクリアしても3でつまずく班がほとんどです。一番上のろ紙と一番下のろ紙が接触してイオン化が起こらず電流が流れません。また、1円と10円が接触しても同じですね。周りの紙を破り取るようにヒントを与えましょう。

4、極を確認させる

ここまでしたのに電子オルゴールがならないのはプラス極とマイナス極が間違っているからです。イオン化傾向 ↓

 なんと曲が〜る亜鉛鉄道ギュイーン🚇
➖Na      Mg  Al     Zn   Fe  Cu  Ag➕
で覚えさせました。アルミと銅では銅が陽極になります。
ヒントを与えていき、最終的には全ての班がSOSを発信する(電子オルゴールを鳴らす)ことができました。パチパチ!
今回の授業では思考力を高めるのがねらいだったので、実験の振り返りとして思考のフローチャートのいうプリントを作りました。↓
↑振り返りが早めに終わった人のために追課題「フィルムケース電池(活性炭電池)」の設計図作りをつけました。・・・時間がなくて書き込んだ生徒はほとんどいませんでした。うーん、研究授業はどうしても詰め込みがちになりますね。

まとめ

55円電池は、電池の構造や仕組みが本当に理解できていないと作れません。この授業では、生徒が

「わからへんなぁ」
「なんで電気流れへんねやろ?」
「こうしてみたらどうやろ?」
「◯班が成功したらしい。」
などと本当に悩み、試行錯誤する姿を見ることができました。この、悩んで考えて、最後に「そういうことか!」とわかる喜びを感じることが思考力をつける一番良い方法だと思います。いわゆる「アハ体験」ですね。悩む時間が多ければ多いほど、わかった時の喜びは大きいです。
わかる喜び、知る喜びは学力の根底にあるものです。研究授業を通して思考力を育む重要性を改めて感じました。

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自己紹介

ふたば

ふたば

1986年生まれ、三十路超え 近畿大学農学部卒業、理科コア・サイエンス・ティーチャー(CST)養成過程修了、家庭教師、個別指導、塾講師を経て、神奈川県で5年間中学校理科教師として勤務。現在は大阪で理科の楽しさを子どもたちに伝えるため日々奮闘中。 教材や教具の開発、効果的なICT機器の活用方法、カードゲームや問題解決を通してのコミュニケーション能力の育成など自らの実践に基づいた教育活動を展開中。 ゆくゆくはこのブログの内容を本にしてまとめられたらと考えています。記事執筆、講演依頼、書籍化についてはお問い合わせフォームからお願いします。

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