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中学理科で単元内自由進度学習をしてみた🌱

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今年度、中学2年生の理科の授業で単元内自由進度学習を始めることにしました。色々調べて見ましたが、中学理科でタブレットによる授業動画を活用した報告は見つけられなかったので皆さんの参考になればいいと思って紹介したいと思います。

自由進度学習

自由進度学習とは、生徒一人ひとりが単元の学習計画を立て、各授業のテーマに沿って取り組むべき課題と進度を自由に決める学習方法です。コロナ禍で中学理科の授業動画をつくりながら、「この動画を効果的に授業に取り入れるにはどうしたらいいのか」について考えました。はじめに行き当たったのが反転授業です。

反転授業

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反転授業とは、従来の「学校でインプット(授業)して、家庭でアウトプット(宿題)」の流れを反転させて、家庭でICT機器などを活用してインプット(予習)して、学校では演習や議論などのアウトプットを行う学習方法です。授業動画を撮りためたふたばは、「家庭で授業動画を見ることを宿題にすれば、授業は深い問いを立てたり、実験を増やしたりできる!」と意気揚々と反転授業を始めようとしました。そして、授業動画を見たかどうか確認するために150本を超える動画一つ一つに確認問題(小テスト)をつくりました。5分程度の動画を見るのが宿題なら全員がやってくれるはず!準備万端で始めた反転授業。その結果は・・・

反転学習に取り組んだ結果

生徒が家庭で授業動画を見てこない_| ̄|○ il||li

いや、もちろんきちんと家で動画を見てくれる生徒はたくさんいるんです。でも、本当に見てもらいたい理科に苦手意識を持っている生徒ほど見てくれないんです。よく考えたら当たり前ですよね。タイパ重視の中学生にとって5分あれば、ショート動画を5本も見れてしまいます。興味もない理科の動画を見る時間はないんです。

次の一手

反転授業に失敗したふたば⤵どうすればいいのか分からず、また以前の授業形式に舞い戻りました。もちろんノートをやめたり、振り返りの方法を変えたりと試行錯誤をしましたが、コレジャナイ感があるんです。そんな中、ふたば塾をパワーアップさせるためにLMSというシステムを取り入れました。LMSとはLearning Management Systemの略で、学びを管理するシステムです。ふたば塾の授業動画とふたばの白プリのデジタル版を組み合わせてeboardのようなオンライン講座をつくったのです。↓こんな感じ〜💻(クリック)

オンライン講座を作りながら、以前失敗した反転学習について思い出しました。なんとかこの動画を活用した授業がしたい!再度反転授業について調べると新しい授業方法を見つけました。Takamitsu Furuyaさんのnoteに載っていた「授業内反転授業」です。takamitsuさんが作った造語らしいです。このnoteをみて同じ事を考えている人がいる!とても嬉しい気持ちになりました。そしてふたばは、授業内で動画を活用する方法を模索しました。そしてたどり着いたのが自由進度学習なのです!

自由進度学習を始めるために

まず、自由進度学習の本を読み漁りました。自由進度関係の本はほぼ読みました📚

小山儀秋先生の「教科の一人学び「自由進度学習」の考え方進め方」では、「自由進度学習」が新しい学習方法ではなく、1980年代から進められていたことに驚きました。また、小中学校での実践の様子が書かれていたので、とても参考になりました。

読みながら感じたのは、本などで世に出ている自由進度学習の実践の多くが小学校だということです。もちろん中学校での実践もあるのですが、量が少ない。そもそも自由進度学習の本が少ないので、その中でさらに中学校でとなると情報量が少なくなるんです。同僚の英語科の先生もプリントを使った自由進度学習を取り入れているので、取り入れられている先生は多いはずなんですけどね。

中学理科の授業動画を活用した自由進度学習

最も参考にさせてもらったのが松﨑大輔先生の「中学数学 生徒の自律と自立を促す 単元内自由進度学習」です。

授業動画を活用した自由進度学習ということで、ふたばが理想とする授業に最も近かったです。松﨑先生が自ら作った授業動画を使った中学校での自由進度学習の実践を解説されています。筆者が行った第一回目のガイダンスの授業などの動画のQRコードが載せられていたので、授業動画を使った自由進度学習のイメージを掴む事ができました。これらの本を元に年度初め第一回目の授業に向けたガイダンス用のプリントを作りました。こちらです。

授業ガイダンス

Download (PDF, 808KB)

松﨑先生の授業を元に自分なりのアレンジを加えた感じですね。モデルや実践の数字はふたば塾のオンライン講座の講座番号を表しています。いきなり計画を立てると言われても生徒は困ると思ったのでモデルプランを用意しました。計画を立てる際には、モデルプランとマイストーリーシートを参考にしてつくるように伝えます。マイストーリーシートは正進社さんの教材についてくるワークシートです。単元の学習内容を見通しをもつことができますし、毎日の授業の振り返りとしても使えます。サンプルがネット上にあるので、気になる方は見てみてください。

正進社マイストーリーシートのサンプルはこちら(正進社ホームページへのリンク)

この形でスタートを切った単元内自由進度学習。まだ始めたばかりなので、これから少しずつ生徒と共に調整して、深い学びにつながる授業に取り組んでいきたいと思います。

もし、自分も自由進度学習に取り組んでいる!という先生がいたらコメントしてくださいねー。

ー追記ー

ガイダンスを欠席した生徒に向けて授業の進め方を説明した動画を作りました。授業動画やeboardを活用した自由進度学習に取り組もうと考えている先生は参考にしてもらえると嬉しいです。

 

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自己紹介(PROFILE)

窪田 一志

窪田 一志

1986年生まれ、近畿大学農学部卒業、学びエイド認定鉄人講師、理科コア・サイエンス・ティーチャー(CST)養成課程修了、MIE(Microsoft Innovative Educator 2022)取得、Apple Teacher
家庭教師、個別指導、塾講師を経て、神奈川県で5年間中学校理科教師として勤務。現在は大阪府の公立中学校で理科の楽しさを子どもたちに伝えるため日々奮闘中。
教材や教具、デジタル教材の開発、効果的なICT機器の活用方法、カードゲームや問題解決を通してのコミュニケーション能力の育成など自らの実践に基づいた教育活動を展開中。
ブログのアクセス数は月10万pvを超え、中学理科の授業情報をまとめた書籍「100均グッズからICTまで 中学校理科アイテム&アイデア100」を明治図書から出版。また、ブログがアプリ化されるなど勢いのある教育研究者 兼 教育実践者。
先生向け情報サイト「ふたばのブログ」の他、反転学習や、家庭学習に利用できるオンライン学習サイト「ふたば塾」、中学理科の授業動画を中心としたYoutubeチャンネル「ふたば塾」を運営。
記事執筆、研修・講演依頼、書籍化についてはお問い合わせフォームからお願いします。

【著書】


100均グッズからICTまで 中学校理科アイテム&アイデア100[明治図書出版]





授業力&学級経営力2023年12月号(記事執筆)[明治図書出版]


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