1年生、光の単元で使えそうな授業ネタです。産業技術総合研究所(産総研)さんが全ての光を吸収する究極の暗黒シートを開発したというのです。どういうことなのでしょうか?産総研が暗黒シートの構造や仕組みをYoutube動画で説明しているので、見ていきたいと思います。※以下の産総研の画像はYoutube動画から引用しています。
光とは(理科教師は読み飛ばしてください)
光は波の性質をもっています。そして、波の波長によって、赤色から紫色まで様々な色になります。赤より波長が長くなると赤外線、紫色より波長が短くなると紫外線とよばれ、人間の目で見ることはできなくなります。
ものの色を感じるということ
ものの色を感じるとはどういうことなのでしょうか?私達はものを見るとき、太陽光や照明が必要です。真っ暗な部屋では何も見ることはできません。これは私達が反射した光を見ているからです。光は青、緑、赤からできており光の三原色と呼ばれます。
物体には光を吸収するはたらきがあります。また物体によって3つの光を吸収する割合が異なっています。
例えば赤と緑を吸収する物体が反射させる光は青だけなので青色に見えます。青だけを吸収する物体は赤と緑を反射させるので赤と緑の光を合わせた黄色に見えます。全ての光を反射させると白。全ての光を吸収すると黒になります。
ここで少し角度を変えて植物を例に考えてみます。
植物が緑色に見えるのはなぜ?
生徒に質問すると「葉緑体」があるからと言う答えが返ってきそうですね。では、
植物が好きな色は?
こう聞かれたらどう答えますか?色が見える仕組みが分かれば答えることができます。正解は「青と赤」になります。植物が緑色に見えるのは、緑色の光を反射させているからです。これは、緑の光だけは吸収することができない(光合成に使えない)ということを意味します。緑色の照明では植物は成長できないんです。面白くないですか?晴れている日、髪の毛を触ると熱くなっていたり、ヨーロッパの車の天井部分が白いのもこのような色と光の吸収の関係からなんです。
産総研の全ての光を吸収する究極の暗黒シート(ここから本題)
それでは、産総研の暗黒シートはどのようなしくみなのでしょうか。上の説明だけで言うと、黒色にすれば、すべての色を吸収するということになるのですが、実際はそんな簡単なものではありません。
こちらは、一般的な黒いゴムシートと産総研さんの暗黒シートを比較したものです。一般的な黒いゴムシートは、黒色なのですべての色を吸収と思いがちですが、懐中電灯を当てると、白く反射しています。いわゆる黒光りですね。しかし、右側の暗黒シートは光を反射させていません。どのような違いがあるのでしょうか。
暗黒シートの表面
暗黒シートは、その表面にミクロなサイズの円錐状の空洞がたくさんあります。
通常のゴムシートにはこのような構造は見られません。この構造が光の吸収量に大きな差を生むのです。
暗黒シートの仕組み
こちらは、通常の黒い物体に光が入射している状態を図で表したものです。黒い物体は、すべての色の光を吸収する性質がありますが、やはり、一部の光は反射させてしまいます。産総研さんは、この問題点を解決しました。その方法とは・・・
光閉じ込め構造
産総研さんは、黒いゴムにミクロの凹凸をつくることで、光を何度も反射させる構造をつくりあげました。これを「光閉じ込め構造」というそうです。
光は反射を繰り返すたびに、ゴムシートに吸収されます。最終的に99.5%もの光が吸収されるそうです。すごいですね。このゴムシートは、光学機器などで応用することができるそうです。
中学1年生でも理解できる最先端技術だと思います。授業のネタとして紹介してみてはどうでしょうか?
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