昨今の教育の大きな流れの一つが「言語活動の充実」です。 新学習指導要領では「言語活動の充実」が「各教科等を貫く重要な改善の視点」として盛り込まれています。今まで、言語活動は国語科で行うものというイメージが持たれていました。しかし、新学習指導要領では、「言語活動の充実」を全教科・領域で展開するとしています。
考えてみれば、当たり前ですね。みなさんも経験があると思います。定期テストをしていても、
「問題の意味がわからへん。」
「文章題は捨てるわ。」
「『それぞれ』ってどういう意味?」
など、各教科の学習内容ではなく、言語活動でつまづいている生徒がたくさんいます。言語活動を国語科だけに任せていてはいけないのです。
理科に言語活動を取り入れる方法
では、理科でどのように言語活動を充実させるのか?この本には、理科だからこそ出来る言語活動があると書かれています。その中でも特に実験について多く書かれています。実験は、理科の授業の中で
特に活発に言語活動が行われます。この本の著者の西川さんは、学校における実験のパターンは大きく三つに分類され、そしてどれも効果的な言語活動が行なわれていないといいます。下の強制ケース、無関心ケース、安易な合意ケースです。理科教師として実験を行い、その通りだと感じます。
面白いですね。この三つのケースは、どれも学力形成にはマイナスです。この状態を乗り越える方法がこの本には書かれています。
理科(科学)は基本的に
①事象や現象に疑問をもつ
②仮説を立てる
③仮説を実証できる実験を行う。
④実験結果から考察を立てる。
⑤次の実験に繋げる。
という流れで行われます。
論理的に筋道を立てて相手を納得させるのが理科における言語活動です。学校の授業では実験の結果ばかりが注目されます。しかし、それは理科の本質でなないと思います。なぜこの実験をしようとしたのか。結果から当時の科学者はどのように考察したのか。これらの方が本当に教えるべき内容だと感じました。
理科の教師にとって、言語活動を充実させることは、生徒が社会にでたときに、「何事も論理的に筋道を立てて物事を説明できる人」にすることを目的としていることを忘れてはいけないと感じました。
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