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コブクロ「ベテルギウス」で宇宙を学ぶ

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コブクロの「ベテルギウス」という歌を知っていますか?私は3年生、宇宙の単元を教えるとき、この歌を導入に使っています。

コブクロ「ベテルギウス」で宇宙を学ぶ

ベテルギウスの歌詞を知らない方のために歌詞の一部を載せます。

「ベテルギウス」
作詞・作曲:小渕健太郎
オリオンの右肩に輝く
ベテルギウスはもうないと
知らずに僕らは今日も見てる
500年前の光を
どうでしょうか?この歌は宇宙について様々なことが盛り込まれていると思いませんか。今回はベテルギウスに込められた宇宙の授業で使える内容について書きたいと思います。
<コブクロ「ベテルギウス」の使えるポイント>

①オリオン座について

オリオン座は中学校で最も頻出する星座です。はじめにオリオンが人の名前であることとなぜオリオンが星座になったのかを説明します。↓
『オリオンとサソリ』
巨人の美男子オリオンは、太陽神アポロンの双子の妹、月の女神アルテミスに恋をします。アポロンは「なんでこんなやつに妹やらなあかんねん!」とオリオンに腹を立てます。しかも、狩猟の名人で力自慢のオリオンは
「私こそ最強だ!私より強いと思うものは勝負しろ!」
と調子に乗りまくります。
腹を立てたのはアポロンだけでなく、周りの神々も同様です。
神々達は謀議をこらして、
「巨人オリオンを懲らしめる方法を考えました。」
ある神が、
「小さくて地味なヤツに巨人オリオンをやっつけさせるのはどうだろうか?」
と提案します。
その案は採用され、その小さくて地味なヤツの候補として、毒ヘビ・毒グモ・毒バチ・ムカデ・毒トカゲなどがあがりました。結局、一番の嫌われ者のサソリが選ばれました。呼ばれたサソリは毒針を突き刺すためにオリオンのところへやってきます。オリオンはサソリがいることも知らずに、いつも通りに威張りっていました。サソリはゴソゴソとオリオンの背後に回り、彼のかかとに・・・ブスリ!
「イテッ!
と思う間もなく、オリオンはサソリの毒がまわり死んでしまいます。自分の役割を果たしたサソリは、ご褒美としてゼウスに天へと迎えられ星座となったそうで。 また、亡くなったオリオンもアルテミスの希望によって星座になったそうです。しかし、サソリを恐れるオリオンは星座になった後もサソリ座が出てこない冬の間だけでてくるようになったということです。
面白いお話ですよね。生徒はこういう話を教師の思っている以上に好きなことが多いです。ぜひ話してあげてください。
そして、生徒に
「オリオン座を見上げているとき、この人はどの季節にどちらの方角を見上げていると思う?」
と発問します。いろいろな答えが出てきて面白いです。正解は冬に南の方角ですね。(厳密に言うと真夜中に見たらとかいろいろなパターンが考えられますが細かいことは気にしないでいきます(笑))
「なんでわかるか?それをこれから授業で解明していこう♩」
と宇宙の単元への興味関心を高めていきましょう。
そしてオリオンの右肩に輝くということの意味を下の図で説明します。
わかりやすい!オリオン座は比較的明るい東京や大阪でも観察できるので
「宿題はオリオン座を観察して何時にどちらの位置にあったか?」
を答えさせると面白いですよ。

②ベテルギウスはもうない?

ベテルギウスは実はもうないかもしれないと言われています。2009年の観測で、ベテルギウスは15年前の測定時と比べて15%も小さくなっており、しかも加速的に収縮しているらしいことがわかりました。またベテルギウスが変形している事も確認されました。
これは、ガスが恒星表面から流出し表面温度が不均一になるなど、星自体が不安定な状態にあることを意味しています。赤色巨星であるベテルギウスは、星を人とすると高齢者になります。これらの情報からベテルギウスが星の最後に起こる超新星爆発が近いと予想されるため、ベテルギウスがもうないかもしれないと考えられているのです。

③知らずに見てる500年前の光を

では、なぜ
「見えているベテルギウスが本当はないかもしれない」
と考えられているのでしょうか? ここで「光年」の概念を子どもに学習させます。
まずは光の速さについてです。光の速さ 
1秒に地球を7周半できる速さです。秒速30万Kmという超高速ですね。光より速いものは今の所見つかっていません。
次に地球と星の距離についてです。星は果てしな〜く遠くにあります。どれくらい遠いのか?ベテルギウスの場合、1秒に地球を7周半できる
光の速さで600年以上※かかる場所にあると言われています。
(※2008年になり、定説となっていた約427光年という推定距離が大幅に改められ約642光年となっています。コブクロでは間をとって500年と歌っているのかもしれませんね。)
どちらにしても、ベテルギウスがピカッ!と光ってからその光が地球に届くまで600年もかかるということです。ベテルギウスが爆発して消滅しても600年間は地球を人は気づかないということです。面白いですね。太陽は8秒前の光を届けていることも合わせて教えると理解しやすいかもしれません。
「ベテルギウスに大きな鏡を置いて地球から超高性能の望遠鏡で見ると、往復なので600✖️2で1200年前の日本をみることができるんだよ」
という説明をすると子どもはすごーいと喜びます。光って本当に面白いですね。
望遠鏡で遠くを見るということは過去を見ることです。1万光年先の星を見ることは一万年前の宇宙を見ていることになります。
ベテルギウスの歌を元に子どもとともに宇宙の神秘について学んでいけたらいいですね。
 

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自己紹介(PROFILE)

窪田 一志

窪田 一志

1986年生まれ、近畿大学農学部卒業、学びエイド認定鉄人講師、理科コア・サイエンス・ティーチャー(CST)養成課程修了、MIE(Microsoft Innovative Educator 2022)取得、Apple Teacher
家庭教師、個別指導、塾講師を経て、神奈川県で5年間中学校理科教師として勤務。現在は大阪府の公立中学校で理科の楽しさを子どもたちに伝えるため日々奮闘中。
教材や教具、デジタル教材の開発、効果的なICT機器の活用方法、カードゲームや問題解決を通してのコミュニケーション能力の育成など自らの実践に基づいた教育活動を展開中。
ブログのアクセス数は月10万pvを超え、中学理科の授業情報をまとめた書籍「100均グッズからICTまで 中学校理科アイテム&アイデア100」を明治図書から出版。また、ブログがアプリ化されるなど勢いのある教育研究者 兼 教育実践者。
先生向け情報サイト「ふたばのブログ」の他、反転学習や、家庭学習に利用できるオンライン学習サイト「ふたば塾」、中学理科の授業動画を中心としたYoutubeチャンネル「ふたば塾」を運営。
記事執筆、研修・講演依頼、書籍化についてはお問い合わせフォームからお願いします。

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