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中学受験でも思考力を問う問題が出題

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今日は仕事始め。新しい仲間との出会いの日ですね。子どもたちの明るい未来のために明るく楽しい仕事初めにしたいものです。今年度も授業や教育活動の役に立つ情報を発信していきたいと思います。今年度もふたばのブログをよろしくお願いします。

変わる入試問題

前回、2020年からの教師問題という本を紹介しました。大学の入試問題が大きく変わるという内容でした。

教師に読んでもらいたい本「2020年からの教師問題」

しかし、変わっているのは大学入試だけではありません。中学入試でも同じように思考力を問う問題が出題されているようです。

中学入試で実際に出た問題

アメリカのニュース雑誌「TIME」では、毎年”person of the year”を選出しています。これは、「その一年を代表する人物」という意味で、下の資料のように、その年最も世界に影響を与えたとされる人物を挙げています。

2004年 ジョージ・W・ブッシュ(第43代アメリカ合衆国大統領)

2005年 ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者) 他

2016年 ドナルド・トランプ(第45代アメリカ合衆国大統領)

さて、2006年、この”person of the year”に選ばれたのは、大国の権力者や経済界のリーダーなどの一個人ではなく、”You(あなた)”でした。なお、この2006年は、インターネットにおける新しいサービスであるYoutubeやTwitter、その他多くのSNSが誕生・普及し始めた年です。これwきっかけに、インターネットさえあれば世界中の誰もが情報を発信できるようになりました。

以上をふまえて『TIME』誌が”You”を選出した理由や意味、これに関わる他の例、そしてあなたの考えを400字から600字でまとめなさい。(大妻中野中 入試問題)

いかがでしょうか?高校入試でもこのような問題に対して適切に答えられる生徒は多くないと思います。これを小学生に答えさせるということは、これからの子どもたちに求められる力が大きく変わってきているということを表しています。

難易度がとても高いことはわかりますが、教師としてはこのような問題を

どのように評価しているのか?

が気になるのではないでしょうか?このような思考力を問う問題では、「ルーブリック評価」という評価法が使われることが多いです。

ルーブリック評価

ルーブリック (Rubric) とは、学習到達度を示す評価基準を観点と尺度からなる表として示したものである。主に、パフォーマンス課題を評価するために使われる。出典:Wikipedia

例えば、「知識・理解」「表現」「思考・判断」などを縦軸とし、横軸には、You”を選出した理由や意味を実例をあげて説明できている。自分の考えを論理的に説明できる。などの評価基準をA、B、Cと作るという方法です。

これは、中学校で行われている観点別評価と同じですね。評価方法が確立されているからこそこのような思考力を問う問題を出題することができるのです。

その他の思考力を問う中学入試の問題

中学入試では、他にも思考力を試す様々な難問が出題されています。

 下線部9「橋は、ほかの建造物とともに、文化、歴史を読み解く格好の対象である」とありますが、光子さんは建造物としての役割、文化や歴史を読み解くための材料に加え、現代社会においては、他にも橋の役割や存在の意味があると考えました。そして光子さんは、リード文にあった「壁ではなく橋を築くべき」だというローマ教皇フランシスコの発言を思い出し、自分にもできることがあるのではないかと思いました。あなたなら「壁ではなく橋を築く」ということを実現するために、どのようなことを実践しますか。具体例を挙げて思う存分書いてください。(光塩女子学院中等科)

あなたなら、「オウム」を資料のどの動物とどの動物の間に位置づけるか答えなさい(正しい答えがあるわけではありません。理由づけの力を見るものです)。(かえつ有明中)

前者は、国や文化、宗教など様々な問題について、「橋と壁」という対象的な言葉を使って説明させる問題です。そこまで答えさせるわけではないですが、アメリカが抱えるグローバリズムや保護主義などの対立関係まで考えてしまいそうです。

トランプさんが選挙の時の演説で「メキシコとの国境に壁を作る」と言いました。

映画「ブラックパンサー」には「賢いものは橋をかける、愚かなものは壁を作る」という言葉がでてきます。ちなみに「壁ではなく橋を築くべきである」というのはローマ教皇フランシスコさんの言葉です。カトリック系の学校だけに様々な事を考えさせられる入試問題です。

後者は、問題に「正しい答えがあるわけではありません。理由づけの力を見るものです」とあることから、生徒にどのような力を求めているのかがありありとわかります。

まとめ

これらの中学校の入試問題からわかることがあります。先の見えない時代、これからの子どもたちに求められるのは、答えがない課題に対して、自分なりの考えをもち発信する力なのです。

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自己紹介(PROFILE)

窪田 一志

窪田 一志

1986年生まれ、近畿大学農学部卒業、学びエイド認定鉄人講師、理科コア・サイエンス・ティーチャー(CST)養成課程修了、MIE(Microsoft Innovative Educator 2022)取得、Apple Teacher
家庭教師、個別指導、塾講師を経て、神奈川県で5年間中学校理科教師として勤務。現在は大阪府の公立中学校で理科の楽しさを子どもたちに伝えるため日々奮闘中。
教材や教具、デジタル教材の開発、効果的なICT機器の活用方法、カードゲームや問題解決を通してのコミュニケーション能力の育成など自らの実践に基づいた教育活動を展開中。
ブログのアクセス数は月10万pvを超え、中学理科の授業情報をまとめた書籍「100均グッズからICTまで 中学校理科アイテム&アイデア100」を明治図書から出版。また、ブログがアプリ化されるなど勢いのある教育研究者 兼 教育実践者。
先生向け情報サイト「ふたばのブログ」の他、反転学習や、家庭学習に利用できるオンライン学習サイト「ふたば塾」、中学理科の授業動画を中心としたYoutubeチャンネル「ふたば塾」を運営。
記事執筆、研修・講演依頼、書籍化についてはお問い合わせフォームからお願いします。

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