体細胞分裂の観察は中学校の理科の実験の中で最も難易度が高い実験ではないでしょうか。教科書通りやってみてもなかなかうまくいきません。今回はそんな体細胞分裂をほぼ100%成功させる方法をご紹介します。
ニンニクの根端の体細胞分裂の観察
この実験方法は滋賀大学の名誉教授の石上三雄教授から教えていただきました。
ニンニクの根を伸ばす
まずニンニクを準備します。上の写真は、中国産のニンニクの皮をむき、ブロック状の一部を取り出したものです。爪楊枝を3本さしてビーカーに引っ掛けるだけで簡単に根がでてきます。実験の3、4日前に準備をすれば大丈夫です。一斉に発根し、1日に1㎝程度伸長する活発なものが望ましいです。
根端をカルノア液で固定する
その場で使用する場合は10分程度の固定でよいが、保存するなら1時間ほどカルノア液(エタノール3:酢酸1)で固定しておく。
※カルノア液に入れて冷蔵庫で保存した場合、半年から1年程度は使用可能になるそうです。
根端を62~58℃の塩酸溶液で3分間処理する
ここが実験を成功させる最重要ポイントです。温度と時間の勝負になります。
まず、熱湯と水を混ぜて70℃程度のお湯を200mlをつくります。
試験官を2本用意します。1本は2~3mlの3%塩酸、もう1本の試験管の上部の壁面には固定済みの根端を付着させておきます。試験管2本をビーカーに入れて、水温が下がるのを待ちます。
少しずつ温度が下がり、62℃になった瞬間!塩酸溶液の入った試験管をもう一方の根端の入った試験管に流し込みます。壁面の根が塩酸溶液と一緒に落ちなかった場合はストローで沈めてください。※ストローを使うのは熱が伝わりにくいため、冬場などは保温のためにプチプチやタオルなどを敷いて断熱するといいそうです。
水が入ったシャーレに根端を流し込んで処理を停止する
シャーレ2個に20~30mlの水を入れて、一方に根端を流し込みます。試験管に根が残った場合はスポイトで水を入れて取り出してください。根端をピンセットでもう一つの水の入ったシャーレに移します。こうすることで根の処理を停止することができます。※この状態で半日はもつそうです。
揮発性のスライドガラス上で根端1.5㎜を広げる
ここも細胞を見るときのポイントになります。揮発性のスライドガラスは水を弾く性質があります。揮発性のスライドガラスを使用することで、細胞の重なりが減り、観察が非常にやりやすくなるそうです。
※揮発性のスライドガラスがないときは、通常のスライドガラスにマニキュアのトップコートを薄く塗布したものを使用すると同様の効果が得られます。
ピンセットで慎重に作業をします。
今回は石上先生が子どもたちでも作業がしやすいようにと作ったシートを利用しました。
とてもわかりやすいので、子どもたちでも簡単に作業ができそうです。実際に子どもが作業を行うときはここからになりますもんね。
根端を切る
カッターで根端を1.5mmカットします。
根端をつぶす
根端を柄付き針でつぶします。上のシートの□の範囲に広がる程度がいいそうです。
酢酸カーミン溶液を1滴かけて、5分間染色する
酢酸カーミンで染色を行います。
5分間ワクワクしながら待ちます♪
カバーガラスをかけて、ろ紙で挟んで押しつぶす
カバーガラスをかけて、ろ紙で挟んで押します。
完成♪
観察結果
こっ・・・これは!
ちゃんと細胞分裂の様子が観察できます!!
素晴らしいです!
よく観察すると、いたるところに細胞分裂の様子を観察することができました。これなら、生徒も夢中になって細胞分裂の様子を観察しますね。
ということで滋賀大学名誉教授石上三雄先生のニンニクの根端の体細胞分裂を観察する方法でした。ぜひ授業でやってみてください。
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