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ヨーロッパの性教育事情の光と影

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日本は世界的に性教育について遅れていると言われています。若年層で起こっている望まない妊娠が増える一方、晩婚化や性への知識のなさからくる不妊症の増加。もちろん遺伝的な問題や社会構造の問題など様々な要因があると思います。しかし、そんな諸問題に向き合っていくためにも正しい性教育は必要不可欠です。今回はヨーロッパの子どもたちを取り巻く性事情や性教育を通して日本の性教育について考えていきたいと思います。

「中学校起こった修学旅行集団妊娠事件」

事は2014年1東ヨーロッパのバルカン半島北西部の中学校で起こりました。この中学校で修学旅行に行った後、複数の女子生徒が妊娠していることが発覚したのです。この学校は田舎にある小さな学校です。修学旅行に行ったのはたった28人。しかし
5日間の旅行で28人中7人の女子生徒が妊娠してしまったのです。日本に比べて性に寛大とはいえ、この事件は大きな問題としてとりだたされました。現地にある生殖健康管理委員会のいう団体は、
「生徒たちへの性教育は保護者がすべき」
と主張。反対に、保護者たちは学校側の責任を追求しました。責任のなすり付け合いになってしまっているのが悲しいですね。海外でも青少年の妊娠率が上昇しており問題となっています。正しい性教育が求められているのは日本だけでないことがわかります。
青少年の世界的な性環境における若年化は、ネットによる影響が大きいと言われています。性について最も興味をもつ10代前半。子どもたちは正しい性教育を受ける以前にネットによって大人による「売り物としての性」の情報を受け取ることとなります。この「売り物としての性」は、本来の性にある愛や家族、思いやりではなく、性的興奮に重点が置かれています。このような、「間違った性(性の一面)」だけに基礎知識もなく触れてしまった子どもたちはその情報の過激さに踊らされてしまいます。今回東ヨーロッパで起こって
しまったこの事件も正しい性教育が行われていれば防げた事件だと思います。望まない妊娠だけでなく、性犯罪や感染症、リベンジポルノなどの犯罪やトラブルを未然に防ぐためにも、正しい性教育を行っていく必要性があると改めて感じた事件でした。

オランダが小学校で性教育を徹底!気になる効果は?

若年化する性問題が増えている今、性教育はいつ始めるべきなのでしょうか?様々な考え方がありますが、チューリップと風車の国オランダでは小学校からオープンに性について語り合う場を設けることで性について一定の効果が出ているようです。オランダの性教育について調べてみました。
オランダは、世界でもっとも十代の妊娠が少ない国のひとつとして知られています。また、初めての性体験についてアンケート調査を行ったところ、「望んでいたものだった」や「楽しかった」と多くの人がポジティブな感想を持っていることがわかりました。反面、アメリカでは66%もの若者が「もっと遅くに経験すればよかった」と後悔しているという調査結果がだされています。
 
なぜオランダでは性に対してこのような良い環境を作ることができたのでしょうか?
その一つの理由として考えられるのが小学校での性教育です。性教育といっても、セックスに関することというよりはや人間関係について考えたり発表することを中心に学びます。
この学習カリキュラムは世界的にも注目されています。性についての身体的発達や悩みは誰もが経験します。性について正しい知識を学ぶ機会を公教育が提供することはとても良いことだと感じました。
オランダでは性交渉の若年化が進む先進国の中で珍しく早熟な性交渉数が減少しているそうです。
しかし、これは初体験の年齢が上がったからではないようです。実際、オランダの若者は10代のうちに性交渉を済ませていることが多いそうです。しかし、約90%が避妊具を使用しているのです。
結果として、10代の妊娠率は世界最低HIVや性病感染についても同様に低い水準にあるのです。

二つの記事から見えること

二つの記事から見えてきたこと。それは、愛や家族の形を含めた正しい性教育を二次成長が始まる前段階である小学校のうちから始める重要性です。ネット環境や社会構造は簡単に変えられるものではありません。商品としての性の情報をカットしようといくらネットにフィルターをかけても情報は津波のように子どもたちに襲いかかります。防波堤を立てて気休めの安心感を得るより、大きな浮き輪を子どもたち一人一人に与える方が津波に対して効果的なのではないでしょうか?少子高齢化、晩婚化の問題はますます大きくなります。日本の性教育を今一度見直す必要性を感じました。
 

オランダの性教育の動画


 
動画では、教師が生徒に対して様々な質問をしています。
「なぜ人は抱きしめ合うのでしょう?」
「抱きしめ合うとどんな気持ちですか?」
この内容は二次成長が始まった中学生では照れや見栄が邪魔してちゃんと受けられないですね。
授業の中には愛情や関係性の他にも、お風呂に入ったときのことを例に身体的た変化について考えたり、異性の身体の名称について学んだりもします。
日本は性に対して臆病で卑猥なものというイメージがあります。オランダのように愛や家族、尊敬や支え合いの観点から性について伝えていきたいものです。

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自己紹介(PROFILE)

窪田 一志

窪田 一志

1986年生まれ、近畿大学農学部卒業、学びエイド認定鉄人講師、理科コア・サイエンス・ティーチャー(CST)養成課程修了、MIE(Microsoft Innovative Educator 2022)取得、Apple Teacher
家庭教師、個別指導、塾講師を経て、神奈川県で5年間中学校理科教師として勤務。現在は大阪府の公立中学校で理科の楽しさを子どもたちに伝えるため日々奮闘中。
教材や教具、デジタル教材の開発、効果的なICT機器の活用方法、カードゲームや問題解決を通してのコミュニケーション能力の育成など自らの実践に基づいた教育活動を展開中。
ブログのアクセス数は月10万pvを超え、中学理科の授業情報をまとめた書籍「100均グッズからICTまで 中学校理科アイテム&アイデア100」を明治図書から出版。また、ブログがアプリ化されるなど勢いのある教育研究者 兼 教育実践者。
先生向け情報サイト「ふたばのブログ」の他、反転学習や、家庭学習に利用できるオンライン学習サイト「ふたば塾」、中学理科の授業動画を中心としたYoutubeチャンネル「ふたば塾」を運営。
記事執筆、研修・講演依頼、書籍化についてはお問い合わせフォームからお願いします。

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授業力&学級経営力2023年12月号(記事執筆)[明治図書出版]


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