「喉元すぎれば熱さ忘れる」という言葉があります。熱い食べ物でも、飲み込んでしまえば問題ないという意味です。実は、人間の心理でも同じ様なことがいえるのではないかということを調べた心理学実験があるのをご存知でしょうか?
ロラン・ノルドグレンの心理実験
ケロッグ経営大学院の心理学者ロラン・ノルドグレンは、被験者をランダムに、以下のパターンに分けました。
A「お湯の中に腕を入れた状態」
B「氷水の中に腕を入れた状態」
この状態で、被験者たちに
「冷凍室で5時間座り続けるのは、どれくらいつらいと思いますか?」
と質問をします。
結果はどうなったと思いますか?
実験の結果、Bの人は「冷凍室のつらさ」を、Aの人よりも14%ほど強く見積もったそうです。
よく考えれば当たり前ですね。Bの人は実際に冷たい体験をしているわけです。
「冷たいよぉ!霜焼けなるわぁ!冷たいのは本当につらい!氷水でこんなにつらいんだから、冷凍室に5時間なんてもっと辛いに決まってる!」
となるわけです。
逆にAは、
「あぁ、お湯はあったかいなぁ…。幸せ♪冷凍室で5時間ってことだけど、何とかなるやろ?」
となるのです。
「幸せな人には、辛い人の気持ちが分からない」ということが分かりますね。
しかし、この実験には続きがあるのです。
実験者は他の被験者たちにもう一つパターンを作りました。それは・・・
C「氷水の中に腕を入れさせ、出したあとに10分たった状態」
というものでした。これがこの心理学実験の面白いところです。
そしてパターンA、パターンBと同じように「冷凍室に5時間入る」つらさを判断させたのです。
結果はどうなったと思いますか?
正解は・・・ドキドキ
パターンA「お湯に腕をつけていた被験者」と同じくらい「なんとかなるやろ?」と判断したのです。
・・・この心理学実験から何がわかるか分かりますでしょうか?
結論はシンプルです。
「人間、どんなにつらくても、終わってしばらくすれば、忘れる」
ということです。たった10分でもこれだけ戻るのですから、人生において苦労をしたとしても幸せをつかんだとたんその苦労を忘れてしまうのですね。
いい意味でも、悪い意味でも、「人は忘れることができる生き物」だということがわかる心理学実験でした。子どもの考え方や道徳心に訴えかける私達教師はこのような人間心理を学んだ上で教育活動をしていく必要があると感じました。
いやぁ・・・心理学は面白いです。
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