木の棒に三本の紐を結びつけて天秤を作ります。このとき、支点となる中央部分は紐と棒が一体化するようにセロハンテープなどで固定します。(これをしないと重心が支点より上にきてしまうので天秤として使えなくなります。)風船に同程度の空気を入れて膨らませ、天秤に紐で固定します。
紐の位置を調整して天秤が釣り合ったら実験準備完了です。
細い針で風船の口付近に穴を開けて少しずつ風船の空気を抜いていきます。(風船を割る方法もありますが、その際はゴムが破け飛ばないようにしてください。)
空気が抜けた風船が軽くなり天秤が傾きます。本当に軽くなったのかを電子天秤を使って確かめます。
空気を入れた状態では2.114gでした。空気を抜くと・・・
2.001gになりました。0.1g以上減っています。実験成功ですね。
しかし、ここで1つ疑問が出てきます。空気の密度は1.293 g/l(乾燥、0℃、1atm)風船1つならもっと質量が減少しても良さそうです。
実はこの電子天秤では風船内の空気の重さを調べることはできないのです。その理由を解説します。
空気を入れたビニール袋を用意します。
質量は5.961gです。
同じビニール袋を空気を抜いてから計り直すと
同じ5.961gになります。電子天秤でビニール袋内の空気の重さは測れないことがわかります。では、風船の空気を抜くとなぜ質量が減少したのでしょうか?それには気体の密度がからんできます。
電子天秤は空気中で空気より密度の高いものから下向きにはたらく力を測定しているのです。
ビニール袋にいくら空気を入れても中にある空気から下向きの力ははたらきません。一方、風船はゴムでできていて、弾性エネルギーによって内部の気圧は外に比べて高くなります。風船内部は密度の高い空気で満たされます。密度の高い空気は同じ体積で質量が大きくなるので下向きの力が大きくなります。そのため風船の空気を抜くと電子天秤の値が減っていったのです。ごちゃごちゃと書きましたが、外の空気と風船内の空気の量の差を電子天秤で量りとったことになるのです。空気の重さを測るには圧力をかけて密度の高い空気をつくればいいので、サッカーボールや自転車のチューブでも同様の実験ができます。空気の重さは目に見えず、身体にも感じることがないので、特に理解しづらい内容です。実験を通して子どもたちに空気の重さを伝えられたらと思います。