中学校1年生の岩石の単元で使える情報です。生徒の身近でつかう岩石を思い浮かべるとキッチンの天板が思い浮かびます。御影石や人造大理石・・・でもこれらの石の名前は教科書には出てきません。なぜでしょうか?実は御影石や大理石は通称なんです。兵庫県の御影地方(六甲山麓)で産出する花崗岩を御影石と呼んだのがはじまりですが、今では建築用の花崗岩を総じて御影石と呼んでいるそうです。黒御影、赤御影、青御影などに分かれますが、これは色に重きを置いた呼び方で実際には、花崗岩だけでなく閃緑岩や班れい岩、ガラス質の安山岩なども御影石となります。理科的には御影石はほぼ花崗岩(閃緑岩、班れい岩、安山岩も含む)(笑)、大理石は石灰岩に分類されます。今回は生徒に身近な石・・・ご先祖様への感謝の気持ちも込めまして墓石を中学校理科の科学的観点から考えてみたいと思います。
墓石を科学する
出典:イラスト屋
「お墓まいりには行っていますか?お墓の色は何色ですか?」
と聞きたいところですが、宗教に関わる発問なのでできないかもしれないですねぇ・・・まぁうまく関連付けてみてください。(適当でごめんなさい。)
ということで今回は墓石の岩石名を調べてみました。お墓に行くと様々な形や色の墓石が建てられています。いつもと違う観点で石を見てみるととても面白いですよ〜。
墓石
墓石をしっかり観察するという機会はあまりないとおもいます。・・・というか一生ないかもしれません。でも墓石はという立派なものをもっているのにその名前や成分を知らないのはなんだかもったいないです。ぜひ、お墓がなんという岩石かぐらいは知ってもらいたいです。
①花崗岩(花こう岩)
お墓に使われる石としてはもっともベーシックな岩石です。深成岩なので、等粒状組織をもちます。近づいて見てみると透明な石英、白やピンクに見える長石、黒く見える黒雲母で構成されているのがわかります。石英
、長石などの無色鉱物を多く含み白っぽく見えます。SiO含有量が多いです。
②閃緑岩
深成岩で等粒状組織を持ちます。角閃石、輝石などの有色鉱物の含有量が増えるため花崗岩に比べて少し黒っぽく見えます。花崗岩と比べてどれが角閃石、輝石であるか調べても面白いです。
③班れい岩
閃緑岩からさらに有色鉱物が増えたのが班れい岩です。遠目には黒くみえますが、ルーペでみると等粒状組織を持つことがわかります。長石、輝石、カンラン石で構成されます。
④赤御影・桜御影(花崗岩)
最近は赤い墓石も見かけるようになってきました。これは、桜御影や赤御影と呼ばれるものです。桜御影は花崗岩の長石が桜色をしているものを、赤御影は赤いカリ長石を多量に含んでいて赤色に見えるものを指します。人の墓石を見るのは少し気が引けますが、教育目的に後ろから少し観察するくらいなら許してくれるのではないでしょうか?
※ふたばは責任をおいかねますのでトラブルにはくれぐれもご注意ください。
物置石
墓石を意外にも岩石はあります。物置石(荷物を置くための石)が置かれているお墓が増えてきましたが、物置石は自然石が使用されていて、岩石の種類は多岐に渡ります。調べてみると面白いですよ。
⑤玄武岩の変成岩(緑色片岩)
火山岩のなかで最も黒っぽい玄武岩。主に深海にある海嶺で生成されます。この玄武岩に圧力と熱が加わることで変性作用が起きます。これは緑色片岩とよばれる玄武岩の変成岩です。緑っぽく見えるのが写真でもわかると思います。
石英や方解石が含まれ、風化の度合いが脈として観察できます。
⑥チャート
チャートは生物の死がいが固まった堆積岩です。石英が成分のほとんどを占める、とても固い岩石です。放散虫を子どもにわかりやすくいうなら「ガラスの骨格を持った生き物」。SiO2(シリカ)(二酸化ケイ素)で骨格をつくるので、化石として残りやすい生物です。
↑放散虫の化石・・・ガラスの芸術です。美しいです。
個人的に好きな岩石なので、可能ならふたばのお墓はチャートでつくってもらいたいです(高いかな(笑))
⑦石灰岩の変成岩(大理石)
石灰岩と言われると「なにそれ?」って感じですが、大理石といわれると「高級やなぁ」と言う感じで知られているのではないでしょうか。名前って意外とあてにならないですね。英語ではマーブル。
マーブル模様は大理石の色ムラを表す言葉だったんですね。ただ、大理石は石灰岩の変成岩の中でも真っ白な結晶質石灰岩を指すことが多いです。
チャートと同じように生物の死がいが堆積してできた岩石ですが、チャートととは違い、サンゴや炭酸カルシウムでできています。御影石に比べて加工しやすい反面、水に弱く風化しやすいです。上の写真でも白い部分が風化しているのがわかると思います。チャートや緑色片岩は上面がなめらかなのに対して、大理石はザラザラになります。
ヨーロッパでは彫刻によく使われます。
出典:Wikipedia
ミロのビーナスも大理石でできています。
大理石のお墓がないわけではありませんが、雨に弱く初めは艶があり綺麗な表面も時間とともにザラザラになって汚れやすくなるので使われる方は少ないようです。
いかがでしたでしょうか?身の回りにはまだまだ知らない理科が眠っていると思います。生徒に身近な内容を科学的に考えることはとても興味深いと感じました。面白い内容を知っていましたら、ぜひコメント下さいね。みんなで、日本の子どもたちに科学的な力を伸ばしていきましょう。
コメント
コメントはありません。