子どもと話していて、よく出る悩みが「やる気がでなない」というものです。「勉強したがわからない」ではなく、「勉強する気がおきない」のです。
教師としても、
「やる気のない奴に教えても、何の意味もない」
というのが本心ではないでしょうか?
逆に、どんなに勉強の苦手な子どもでも、「やる気」さえあれば、「なんとかしてやろう」と思えるのが教師だと思います。教師は、教えるのが好きです。やる気のある生徒に教えることは楽しく充実した時間です。勉強にしても、部活にしても、「やる気」さえ出すことができれば、生徒にとっても教師にとっても充実した学校生活を送ることができるのです。塾のCMで「やる気スイッチを探します」というものがありましたが、その通り。教師の
1番大切な仕事は、生徒のやる気スイッチを押すことなのです。
やる気スイッチを押す方法
それでは、どうすればやる気を出すことができるのでしょうか?理科の教師として「やる気」について科学的に迫ってみました。
やる気を出すために必要な要素は三つあるようです。
やる気を出すための三つの要素
(1)実行するに見合う報酬(栄誉、お金、快感など)があること
→ 頑張ったら点数上がった~
(2)現実性のある明確な目標があること
→ この高校に行きたい!
(3)実行しようとしている事に対して興味があること
→ 理科っておもしろい!
「報酬」「目標」「興味」の3要素
「報酬」「目標」「興味」の3つがそろうとやる気が湧いてきます。しかし、そう簡単にはやる気は出ないという人も多くいるはずです。
・ たまにやる気になれるが、すぐにやる気が途絶えてしまう・・・
・ 理屈はわかるけど、やる気自体が湧いてこない・・・
・ やらなければいけない事自体に興味がない・・・
なぜこのような事になってしまうのでしょうか?それは、成長の過程でやる気を管理する力が備わってきたからです。
やる気とホルモンと脳の関係
小さい子どものように「やる気」の管理する力が未発達な場合、「やる気」がみなぎっている時には疲れを全く見せず、活力に満ちています。しかし、一度「やる気スイッチ」が切れてしまうと、急にバタッと死んだように寝入ってしまいます。
これは、やる気の正体がドーパミンやノルアドレナリンといったホルモンだからです。ホルモンは有限なので、ホルモンを使い切ると倒れてしまうのです。
しかし、大人になってくるとそうはいきません。「今日はやる気使いきったから仕事しな~い」・・・なんて言えませんね。大人は日常生活のあらゆる場面において、常にやる気を安定して出し続ける必要があります。脳がやる気を供給できない状態なのに、大人が休憩もせずに勉強・仕事を続けた場合、どうなるか?慢性疲労症候群になったりうつ病になったりしてしまうのです。そのため、脳はやる気を出し惜しみし、
「やる気を出した場合、本当に見合うリターンがあるか?」を重要視します。脳にとって最大の恐れは「やる気タンク」が空になってしまう事です。私たちが脳からやる気を出してもらうためには、
①脳に「今からこれだけの作業をするよ~」「やる気出したらこんなにいいことあるよ~」と交渉。
②頑張った分報酬を与える。
の手順が必要です。しかし、ときどき私たちは脳を裏切ってしまいます。たとえば、いつも以上にがんばって試験勉強したのに点数が予想以上にひどかった・・・こういった場合、脳は
「あれほどやる気を用意したのにその結果はなに?もうやる気は出してあげない!」
とそっぽを向いてしまいます。あなたと脳の信頼関係が崩れ、脳はやる気をロックしてしまいます。脳にとっての最大の失敗は、やる気を出したのにそれに見合う成果、結果がでないことです。脳は失敗を恐れるあまり「やる気」を私たちの意のままにはさせてくれないのです。脳は本能に忠実で、メリット、デメリットにこだわります。以上のことから勉強に対して脳にやる気出してもらうためすることは、
①「必要な勉強時間(やる気の必要量)」を脳に伝える。
②「勉強することのメリット(志望校に入れる!)」を脳に伝える。
③「達成可能(やる気が無駄にならない)」ということを脳に伝える。
上の①~③が「やる気」を出すために必要なことです。脳に伝えると書きましたが、自分で学習計画を立てることになると思います。
子どもにやる気を出させるためには、まず、達成可能な簡単な目標を見つけさせ、それを達成させましょう。すると、脳に「やる気だすといいことあるぞ!」と教える事ができます。生徒のやる気をコントロールできるようになれば、教師の仕事は八割がた上手くいくのではないでしょうか。
でもその前に、私たちが教師の仕事に対してやる気を出さなければ何も始まりませんね(笑)
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