細胞の観察でおなじみのタマネギの観察実験です。
タマネギの細胞の観察実験
まずは、タマネギの構造を考えます。
【各矢印の名称】
黄・・・肥厚して重なった葉(鱗葉)
赤・・・芽
緑・・・茎
青・・・根
オレンジ・・・保護葉
私たちは葉を食べていたんですね。植物は養分を溜め込む場所が種類によって異なりますが、タマネギは地中の葉に溜めているということになります。
中心部は芽になります。タマネギを放置すると緑色の芽がでますが、タマネギを半分に切ると、中心部が硬く色が変わっていることがあります。あれが芽です。根の生えている硬い部分が茎です。私たちのイメージする茎とは大きくかけ離れています。
普段見慣れたものなのに、
「タマネギの茎はどこにある?」
という質問にも答えられない人が多いと思います。「どうなっているんだろう?」と身近な事物・現象に疑問をもてる生徒を育てたいですね。
顕微鏡で観察
タマネギの細胞を染色したものです。タマネギは地中にあるので、葉緑体がありません。とても観察しやすく、よく細胞の観察実験で使われます。
こちらもタマネギの細胞です。上の写真と同じ倍率で観察しているので、細胞の大きさが上の写真のタマネギに比べて小さいことがわかります。なぜ同じタマネギでこのような違いがあるのでしょうか?生徒に理由を考えさせると思考力を育めそうですね。
正解は、タマネギの外側の細胞と内側の細胞を比べているからです。タマネギは、内側の細胞ほど新しい細胞になります。そして、小さかった細胞が外側に成長していくにつれて大きくなっていきます。植物は基本的に液胞を溜め込むことで1つ1つの細胞を大きくします。大きな細胞はほとんどが液胞でできているそうです。
メチルグリーン・ピロニン染色液で染色
こちらはメチルグリーン・ピロニン染色液で染色したタマネギです。
メチルグリーンピロニン染色液はDNAを青色、RNAを赤色に染色します。核を拡大すると、青い核の中に2つの目のようなものが見えます。これが核小体です。RNAを含むため赤色に染色されます。
※上の写真では青色のメチルグリーンによって黒く見えています。
面白いです。よく行うタマネギの観察実験でもこんなに学ぶことがあるんですね。子どもたちにも、ただ知識を埋め込んだり、確認する観察実験ではなく、深みのある学びをさせていきたいものです。