二年生で初めての化学の導入の授業でいつもするお話があります。それは「錬金術のお話」です。
初めに科学と化学の違いについて説明します。そして、アリストテレスの四元素説を教えます。
プラトンの5元素説は4つの根源元素(火、空気、水、土)に天体を加えてそれぞれに正多面体を対応させました。
火はトゲトゲしている正4面体
土はドッシリとかまえる正6面体
水はコロコロ転がりそうな正20面体
空気はフワフワ浮かぶ正8面体もっとも難しい正12面体は天界の物質と考えられていました。おもしろいですね。また、陰陽道などて考えられていた五元素説についても説明しました。
そして、ついに錬金術の話です。
まず、子どもに錬金術師の写真を見せます。
「この人は、何をしているのでしょうか?」と発問します。
子どもはいろいろ考えるのですが中々わかりません。そこでヒントとして↓
鋼の錬金術師の写真を見せます。知っていること生徒は「知ってる!」と声を揃えます。そして、錬金術についての説明です。
「錬金術は、金ではないものから金を作り出す学問です。17世紀〜18世紀にたくさんの人が錬金術に挑戦しました。
昔の人が考えた金の材料とは何でしょうか?」
少し考えさせてから、動画を見せます。
「一つ目は水銀です。常温で液体の唯一の金属。心惹かれますね。昔の人が金の材料だと考えた気持ちがわかります。」
水銀の話が終わったら二つ目の動画を見せます。
「二つ目は硫黄です。火山の噴火口にある黄色の粉末•••大地のエネルギーがつまっていそうです。色も黄色ですし、昔の人は金の材料に違いないと考えました。
しかし、水銀と硫黄をいくら反応させても金はできません。そこで錬金術師たちはどうしたでしょう?」
生徒に考えさせてから答えを言います。
「正解は『材料が足りないと考えた。』です。三つ目の材料は皆さんもよく知っているものです。何だと思いますか?
ヒントはこれです。」
と言って下の画像を見せます。
「ハリーポッターだ!」
と生徒が口々に叫びます。しかし、中々正解はでません。
そこで次の画像です。
ここまでくると生徒も正解に気づきます。
「正解は賢者の石です。錬金術師はこぞって賢者の石を探し求めたのです。賢者の石は見つかったと思いますか?」
生徒は「見つからなかった。」
と答えます。
ここで錬金術の成果について話します。
錬金術は失敗に終わりましたが、無駄ではありませんでした。磁器、蒸留、火薬、硝酸、硫酸、塩酸、王水は全て錬金術の過程で作られました。また、様々な実験器具も作成されました。錬金術がなければ今の化学はなかったと言っても過言ではありませんね。
「なぜ錬金術が失敗したのか?」その理由が原子の発見です。
ということて原子の説明(それ以上分割できない、現れない、なくならない、原子ごとに質量や性質が異なる、変わらない)に入ります。導入としては長いですね。でも、最初の授業で一番大切なのは生徒の興味関心を引くことです。「理科は楽しい」と思わせることです。これぐらい導入に時間をとってもよいのではないでしょうか?やってみると多くの生徒が化学に興味をもってくれたように感じます。
好きこそ物の上手なれ。理科の楽しさを一人でも多くの子どもに伝えたいです。