化学の授業の小ネタで大活躍するのが、カイロです。どの場面で活躍するのかまとめて行きたいと思います。
①、酸化
酸化の単元です。ご存知の通りカイロか暖かくなるのは、鉄が酸化するときに熱が発生するからです。生徒に聞くときは、
「カイロを間違えて破いてしまったことがある人?」
と言って手を挙げさせます。当てて、中身がどんなものだったか聞きます。
「黒くて砂みたいだった。」
「触ると手が黒くなった。」
などと答えます。
中は鉄粉と炭だということを確認します。
次に、カイロを早く温めるためにはどうするか発問します。
「振る」「もむ」などの答えがでます。
ここまでは、多くの生徒がわかります。しかし、
「では、何のために振ったりもんだりするのでしょうか?」
という問いに答えられる生徒は少数です。ヒントとして、カイロを購入時は真空パックされていることを伝えると、「空気(酸素)と反応する」ということに気づき始めます。ただ、答えを教えるのではなく、身近な内容から答えを導く力を養いたいです。
②使い捨てカイロの誕生秘話
この使い捨てカイロを始めて発売したのは、お菓子メーカーのロッテです。
お菓子の中に入れる脱酸素材を作ろうとして、原料の鉄粉や活性炭の量を増やす実験をしていたとき、大きな熱が発生しました。熱が出てはお菓子が痛んでしまうので、脱酸素剤としては使えません。しかし、開発者の一人が熱を利用すればカイロになると考え、使え捨てカイロの誕生したのです。しかし、
この話はここで終わりません。開発したロッテは使い捨てカイロを商品化し特許を出願しました。しかし、
「鉄と酸素が化合するときに熱が発生するなんて、学校で習うことだ。これで特許なんて取れない。」
と特許を取ることはできなかったのです。その後、使い捨てカイロは様々な企業から販売されたそうです。
③カイロと質量
使い捨てカイロは使用後、重くなるか、軽くなるかを質問します。多数決を取ったら面白いかもしれません。理由を発表させると考える力がつきます。最後に答え合わせ。正解は「重くなる」です。理由は、「酸素が化合した分、質量が増えるから」です。カイロという身近なものを授業に取り入れると生徒の食いつきが違います。
理科は、生活の様々な場面で使われていますが、生徒はそれに気づいていません。身近な科学を生徒に示すことで、理科への興味関心を高めることが、理科離れを防ぐことになると感じます。
※カイロを放置すると実際は、重さが減るようです。カイロの水分が蒸発するためだそうです。子どもに酸化と酸素の重さを理解させるための例なので、あえて説明しませんでした。科学部では理由を考えさせるといいかもしれませんね。