体細胞分裂の様子は観察が難しい実験です。「なかなかうまくいかない」と言う声をよく聞きます。当ブログでも何回か紹介してきました。
色々な方法を紹介しましたが、やはり準備が大変。今回は、そんな忙しい先生にオススメの『準備が簡単!』な体細胞分裂の観察方法をお伝えします。
この実験の1番の問題点は履修する時期にあると思います。3年生の1番初めに行う学校が多いんですよね。
「ただでさえ忙しい時期に成功率の低い実験なんてやってられない」
そんな声が聞こえてきそうです(笑)体細胞分裂にせよ、炭酸水素ナトリウムと電気分解にせよ、なんで年度初めにこんなに実験を入れてくるんでしょうね(・_・;)でも、この実験を成功させるためやることは意外と少ないです。
この実験の一番の肝。根っこの準備タマネギやニンニクなど様々ありますが、発芽後のネギの種子で最も適しているのは「九条ネギ」です。年度始めの授業にむけて、4月5日くらいから2日おきくらい(できれば毎日)に、湿らせたキッチンペーパーの上に九条ネギの種子を撒き、暗所に置いておきます。3,4日で発根してきます。
実験を行ったのが4月17日なので、12日目ですね。ここまでくると少し伸びすぎ感があります。
大体、10日目あたりの根が適しているようですが、気温や湿度、種子の性質など様々な影響を受けるので一概には言えません。発芽後2、3日で種子から少し緑色の子葉が見え始めた頃が良いという情報もあります。様々なパターンを用意しておき、予備実験で確かめるのがいいと思います。
ここからが今回の実験方法の特徴です。今回の方法では、根を2回染色します。
まずは、根の細胞を酢酸オルセインと5%の塩酸で処理します。
大体ですが、酢酸オルセイン:5%塩酸=9:1の割合でシャーレに入れます。
酢酸オルセインと塩酸の混合物に根を10分程浸します。この処理をすることで根を塩酸で柔らかくして、さらに染色させることができます。教科書では塩酸処理の方法は希塩酸を一滴落としたり、60℃に温めた塩酸に浸す方法などが紹介されていますが、この方法一番簡単で成功率が高いです。
授業で実験を行うときはこの混合液にたくさんの根を浸しておきます。ここまでの作業を教師側でやっておくと観察の時間が多く取れます。
ここからは生徒にさせたい作業です。ピンセットで根を一つ取り水でゆすぎます。
すると・・・ちゃんと根の先だけが赤く染まるんです。
根の先端に染色体がたくさんある証拠ですかね?
次にプレパラートを作っていきます。
根の先端5mm程(長すぎるとどちらか先端か分からなくなります)をカッター等で切ります。
スライドガラスに切り取った根をのせ、再度酢酸オルセインで染色します。
5分程で染色できます。
ここからはプレパラートを作っていきます。
染色後の根にカバーガラスをかけた後、爪楊枝のうしろなどで
トントントントンと潰していきます。この作業をしないとカバーガラスからはみ出してしまうことがあるからです。後は、ろ紙をはさんで親指でぐーっ
と押し込んだらプレパラートの完成です。
早速見てみましょう♪
一つ見つけることができれば、その周辺にあることが多いです。
生徒より教師の方が夢中になってしまいそうですね。見つかると楽しくなって必死に探してしまいます。
今回の一番がこちら。染色体が中央に並び分かれていく様子がわかります。とてもいい写真です。自画自賛(笑)
ということで「体細胞分裂の様子を簡単に成功させる方法」でした。事前準備としてやることは「種まき」。用意するものは「九条ネギの種」、「酢酸オルセイン」、「5%塩酸」ぐらいです。後は、どの学校にもある顕微鏡やスライドガラスがあればできます。誰でも簡単に成功できる体細胞分裂の実験。ぜひやってみてください。
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