年度初めでバタバタ真っ最中、2019年4月10日にノーベル賞レベルの発表がありました。日本を含む世界6ヶ国の研究グループがブラックホールの撮影に成功したのです。
ブラックホールはアインシュタインの一般相対性理論によって100年前からその存在が予言されていました。重力レンズなどで存在が確認されていたブラックホールですが、このたび、日本の国立天文台をはじめとする国際協力チームによってブラックホールの視覚化に成功したというのです。
まず、今回映像化されたブラックホールの画像は、地球から5,500万光年離れたM87銀河のものです。M87のブラックホールは太陽の65億倍の質量を持つそうです。大きい質量をもつブラックホールほど撮影しやすいのですが、5500万光年(地球から約1000億km)(※1光年≒9兆4600億km)というとてつもなく遠い場所では簡単に撮影できません。EHTチームの説明では、
『ブラックホールはとてつもなく遠方にあり、「ニューヨークにいながら、ロサンゼルスにあるゴルフボールのくぼみを一つひとつ数えるようなもの」だったり、「月にあるミカンの写真を撮るようなもの」という、途方もなく非常識な精度を必要とするものだった。この解像度を達成するには、地球規模の大きさをもつ望遠鏡が必要になる。』
いかに難しい撮影だったかがわかりますね。この難題に対して、日本を含め6ヶ国が協力し、アルマ望遠鏡をはじめとする世界8ヶ所の電波望遠鏡を使って観測したそうです。この世界規模の協力により、人間の300万倍の分解能をもつ望遠鏡を作り上げました。(分解能を簡単に説明すると隣り合う2つの点を認識できる能力です。)
実はブラックホールの撮影自体は2年前に行われていたそうです。1gbの100万倍もある撮影データを2年かけて映像化して発表したのが今回のブラックホールの画像なのです。いかにすごい発表だったのかがわかりますね。
宇宙にはロマンを感じます。和歌や俳句にも月や星について描かれたものが数多くあります。人はいつの時代も宇宙に思いを馳せるのだと思います。今回の発表には200人を超える世界中の科学者が関わったそうです。世界中の宇宙の謎を追い求める人たちが今回のブラックホールの画像に繋がったことがとても素晴らしいことだと思いました。