アサリの解剖は手軽にできる無脊椎動物の解剖として有名です。アサリの解剖の利点は、全員にアサリを配ることで全員が自分の検体で実験ができるところです。たしかにイカの解剖は大きくてわかりやすいです。しかし、班で実験を行うとどうしても理科の得意な生徒や活発な生徒が解剖をメインに行ってしまいます。一人一体の解剖ができるアサリは素晴らしいです。ということでアサリの解剖の方法を紹介します。
出典:youtubeアサリ 解剖 高校生物実験より
解剖で使うアサリはスーパーで売られている「アサリの水煮」を使います。メスの代わりに二本つまようじを配りました。
厳密にいうと、アサリは貝殻も含めてアサリなので、その点は生徒に解剖前に説明する必要があります。
一缶300円ほどでした。
固形量65gという量が、アサリ何匹に相当するのかわからないと思います。ふたばの経験則ではだいたい、一缶に50匹近く入っているように感じます。経済的ですね。
ふたばが解剖するときの流れを紹介します。まずは、外観の観察です。出水管と入水管のどちらが大きいのか調べさせたり、外とう膜をヒラヒラさせたり、エラがヒダ状になっていることやエラだけ色がことなることなどを確認して考えさせます。
よく見ると、中々複雑な構造をしています。
外とう膜を取り外すと足が見えてきました。足をつまようじの腹で押し込むと弾力があることがわかります。足が筋肉からできていることを確認します。
エラをとりはずします。簡単に取り外すことができます。ヒダ状になっている理由を考えさせたり、他の部分の色が異なる理由も考えさせたいですね。ヒダ状になっているのは表面積を増やして呼吸を効率良く行うため、色が異なるのは、血管が集中しているためです。魚のエラは真っ赤ですよね。
裏を向けて、両面にあるエラを取り外させます。
いわゆる貝柱です。ホタテの貝柱と比べさせたり、前と後の大きさの違いを考えさせても面白いですね。生徒には「軟体動物の二枚貝にとって一番嫌なことはなんでしょう」と発問しました。もちろん無理やり貝殻を開けられるのが一番嫌なはずです。前閉殻筋、後閉殻筋は二枚貝にとって生命線です。人が手で開けようとしても開くものではありません。そう考えるとこの筋肉の力がすごいことがわかりますね。
唇弁は、足先の上に二本あります。食物を選別するために使われます。唇弁の根本に口があります。
口から入った食物は消化管を通って、出水管の根本につながっています。肛門がろうとの近くにあるイカと同じ構造になっていることがわかります。
上の緑っぽい色の部分です。色が違うのでわかりやすいです。
入水管と出水管では、入水管(足側)の方が大きいです。「目」と呼ぶことがありますが光を感じることはできません。つまようじをねじ込むと穴が開いていることがわかります。
あさりさんが少し可哀そうに思いました。
つまようじで膜を破いていきます。生徒に伝えるときは「手のひらの皮に安全ピンを指しているの見たことある?あのイメージで皮を除去しよう。」と伝えました(笑)
内臓は、小さくて取り出すのは非常に難しいです。ここで注目させたいのは消化管です。
丁寧に作業すると細長い臓器を発見することができます。
消化管です。
つまようじを使って長さを生徒に長さを競わせると盛り上がります。
以上で解剖は終わりです。アサリは小さいですが、丁寧に作業をすることで子どもでも楽しく実験を行うことができます。
ただし、不器用な子のアサリは・・・・
こんな風になってしまうかもしれません(笑)それでも、「自分でアサリを解剖した」という経験に意味があります。
やったことがない方はアサリの解剖をぜひやってみてください。