1年生、物質の三態の単元で使える思考力が試される実験です。
思考力を高める実験。試験管と漏斗はどうなる?
実験方法
試験管にゴム栓をつけたろうとを取り付けます。
試験管に取り付けて、ビーカーの中に水を満たした状態で逆さにします。この状態でガスバーナーでビーカの下を熱するとどのような現象が起こるでしょうか?
水の状態変化を科学する
論理的な思考力を試される問題ですね。液体中の熱の伝わり方
(過去記事へリンク)、水と水蒸気の性質などがきちんと理解できないと予測できません。
「水が沸騰して、上昇して試験管に水蒸気が溜まって・・・」
うーん、難しいです。この実験前の思考時間が一番脳が活性化している時間だと思います。子どもにやらせる時もこの「思考時間」をしっかりとってあげてください。個人思考→集団思考と段階を踏むとさらに、学びが深まります。
自分なりの予測を立ててから読み進めてください。
実験開始
加熱し始めるとビーカーの外側が白く曇ってきました。水滴です。
加熱を続けると小さな気泡が上がってきます。これは水に溶けていた塩素などの不純物が気化したものです。
あわが大きくなってきました。ここから本格的に状態変化が始まります。
ビーカーの水が沸騰しました。すごい勢いで水蒸気がろうと内に発生しています。発生した水蒸気は真上に上がりろうとの中に溜まりそうです。しかし、一向に試験管に水蒸気はたまりません。試験管内は温度が低く、水蒸気が一瞬で水に戻るんですね。面白いのはここからです。
さらに加熱を続けると、不思議をなことにビーカーの水位が一定の間隔で「ポコポコ」と音を立てて上下運動を繰り返すのです。
・・・なぜ?理由を考えていきます。
上下運動をする理由
初めは試験管内の水の温度が低く、いくら水蒸気を送ってもすぐに水に戻されていました。加熱を続けると少しずつ試験管内の温度が上がります。
温度の上がり方はこちらの記事をご覧ください。
水温は上から上昇するため試験管の先の温度から上がっていきます。すると試験管に少しずつ水蒸気が溜まっていきます。しかし、試験管上部は空気で冷やされ続けます。そのため、水蒸気が水になり、体積が急激に減ることで水を吸い込み水位が下がるのです。
水が暖められ水蒸気になり、冷やされて水に戻るという反応が連鎖的に起こっているんですね。おもしろい実験です。中1の既習事項だけで結果が予測できるのもいいですね。面白い実験なのでぜひ授業でやってみてください。