小中学生は平均で1日2時間以上テレビを見ている。3時間以上も中学生では3割近い。テレビゲームで遊ぶ時間を合わせると総ディスプレイ視聴時間が4時間を超える子もまれではない。中学生の平均テレビ視聴時間2時間15分(ベネッセの調査による)に365日を掛ければ、1年に約800時間テレビを見ていることになる。
これに対して学校での総授業時数は、道徳や体育などを合わせて年間約800時間。学力に直接かかわる「英・数・国・理・社」の5教科は400時間ピッタリだ。
つまり、「テレビ800時間」対「授業400時間」(うち国語は約100時間)。勝負は、この時点でついているのである。日本の子どもたちは学校に通っているのではなく、「日本テレビ通信学園」に通っている。日本語よりテレビ語を話すようになることも自明だろう。
また、ケータイの所有も中学2年生で半数近くになる。中学生で1日21回以上ケータイを使うヘビーユーザーも男子で3人に1人(およそ3割)、女子では4割になる。自室で夜中に延々とショートメールの交換をしている姿が目に浮かぶ。中毒になった子は、やがて有害サイトや出会い系にはまってゆく。仲良し同士が突如いじめっ子といじめられっ子に変貌して「ハブ(無視)られた」「死ね!って何度も言われた」「キモイ、ウザイとメール攻撃された」と、事件にもなる。こうしたイジメを発見しづらくしているのもケータイだ。
テレビとケータイは、素晴らしく魅力的な道具たちだ。だからこそ、使いすぎて中毒になると子どもたちの生活習慣にダメージを与え、学校では対処しきれなくなる。酒、たばこ、薬のドラッグ類と同じことだ。
くれぐれも、テレビに子守りや子育てさせたり、安易にケータイを買い与えることをなにかのご褒美にしたりしないでほしい。