南海トラフ大地震が近いうちに起こるだろうと予想されています。学校教育の中で、ますます防災教育の意義は高まってくると思います。防災教育は、総合的な学習や社会で学習の機会がありますが、理科の中でも取り上げられています。ただ、3年生の最後の単元である「自然の恵みと災害」は受験近くということもあり、おざなりにされてしまうことも多いのではないでしょうか?また、教科書やワークの内容も漠然としており、教師に取っても教えにくい単元だと思います。今回は2009年に起きた2つの洪水の被害を地形や降水量から考えてみたいと思います。
地形から洪水について考える
防府市の洪水の映像
佐用町の洪水の映像
下の表は防府市佐用町の洪水を人的被害、住家被害、土砂災害の3つの観点から比較したものです
住宅被害は佐用町の方が、土砂災害は防府市の方が多くなっています。なぜこのようなことになるのでしょうか?今回はこの理由を降雨量と地形図から考えてみたいと思います。
まずは、1時間降雨量の比較です。
佐用町の方が短時間に多くの雨が降ったことがわかりますね。
次に地形図です。民家の分布と高低差がわかるように二枚写真を載せました。
防府市航空写真(Googlemap)
防府市地形図(Googlemap)
佐用町航空写真(Googlemap)
佐用町地形図(Googlemap)
難しいです。しかし、こういった分析をすることが自然災害に対しての理解を深めることに繋がると思いました。
地学の先生から答え合わせをしてもらいました。この被害の差は大きく分けて2つあるそうです。第一に河川の地形によるものです。防府市を流れる佐波川がほぼ単一の主流で直線的な渓流なのに対しての、佐用町の佐用川は、樹枝状の多数の小河川が集積し蛇行したものとなっています。この差が、土砂災害と住家被害の差となったというのです。たしかに渓流は土石流が多そうです。また、多数の川が1つの本流に流れ込むと水位が一気に上がるように感じます。第二の理由は、民家の地形的な配置状況です。佐用町は多くの河川が集中する地点から川下側が先細りになっており、また、そこに民家が集中しています。このような地形では、水が集中的に流れ込んでしまうので民家に多くの被害がでてしまったようです。
防災意識を高める上で、過去の災害をしっかりと分析することが大切だと感じました。