タイムアウト法という教育法をご存知でしょうか?「タイムアウト法」はアメリカでよく行われてるしつけの方法です。タイムアウト法では子どもが望ましくない行動を続け、親の注意を聞けない状態になった時、子どもの行動を強制的に中断させて、クールダウンの時間を与えます。今回はタイムアウト法が中学生に対して有効な手法なのかを考えていきます。
アメリカ流の幼児教育の方法の一つですが中学校でも同様の指導をしていると感じました。
中学校でのタイムアウト法の使用例
ー定期テスト中ー
「次、他の生徒の邪魔になる行動(立ち歩き、おしゃべり)があったら、相談室に行かなといけない」
と声かけをする。
(タイムアウト法でいうイエローカード)
実際に邪魔をしてしまった場合
「約束したよね。相談室に行こう」
と声かけをして、生徒を相談室に移動させる。
•••全く同じですね。
タイムアウト法をまとめると
- 間違った行動を伝え、一度チャンスを与える。(警告)
- 次に間違った行動をしてしまった場合の対応を伝え、子どもも納得の上、約束させる。
- 間違った行動があった場合、約束した対応を行う。
の3点になると思います。
タイムアウト法の課題点
中学生へ取り入れる際の課題点は
- 2で子どもが納得の上、約束を取り付けることができるか
- 3で間違った行動があった場合の対応を強行できるか
の2点です。
1点目
問題行動をおこす中学生には自分の行動の何が問題なのかわからない生徒もいます。先生には理解不能かもしれませんが、彼らは本当にわからないのです。「考えたらわかるやろ!」と思わず(気持ちはわかりますが•••)落ち着いた声でゆっくりと、しっかり目を見て思いを伝えることが大切です。このような方法をとると、子どもは目を外して笑いながら逃げようとしますが、多くの生徒と約束をすることができます。
ここで約束ができない場合や会話にならない場合は、「周囲に迷惑をかけてしまっている状況」と「約束しようとした内容」を記録して保護者に伝え、学校、保護者、本人で話し合う場所を設けて今後のルール作りを行う必要があります。
2点目
間違った行動をしてしまった場合、約束したことは守らせなければなりません。
そしてここは教師が身体をはる部分(一番辛い部分)です。多少強引にでも別室に移す(クールダウン)必要があります。この場合一人での対応は 危険を伴うので複数人で対応してください。
(※こちらが複数になれば自分で体育館裏などに行き、自分でクールダウンしてくる場合もあります。上に書いた一時中断)です。学校でのクールダウンが無理であれば保護者に連絡の上、自宅に帰してクールダウンさせます。この場合は放課後再度登校させるか家庭訪問を行い、行動の振り返りを行わなければいけません。一度でも約束したのに対応をしなければ、
「約束を破ってもよい」
という間違った価値観を生徒がもつことになります。大変ですが約束については徹底的に守りきらせましょう。そのためには無理な約束をしないことが大切です。本人も納得の上、できる約束をしましょう。そうすれば、約束を達成したときに褒めることもできますし、生徒の自己肯定感を高めることにも繋がります。
タイムアウト法で気をつけなければいけないのは、指定した場所への移動は「クールダウン」のための時間であって、「バツを与える」時間ではないということです。
その場でたくさんの大人に囲まれて怒鳴られるなどの経験をすると、それ自体がトラウマになる可能性があります。教師と約束をしたことに対してマイナスのイメージを持ってしまうので絶対やめましょう。また声かけをする際も、
「言うこと聞かないなら、相談室行きやな」
などの声掛けは逆効果です。タイムアウト法は、あくまでも子どもが自分の心の調整をする練習です。
「タイムアウト」は子どもにとってのクールダウンの時間であると同時に、大人もクールダウンできるという効果もあります。教師も人間です。毎回のように罵詈雑言を浴びせられたらイライラします。しかし、子どもも何かストレスがあって汚い言葉を使っているはずです。お
互いにクールダウンして、向き合って話しをする。そんな習慣が子どもの成長繋がると感じます。