花粉管の発芽と伸長の観察実験は体細胞分裂と並び、中学校の分野では難易度が最も高い実験の一つです。今回はそんな難易度の高い花粉管の発芽と伸長をほぼ100%成功させる実験方法をご紹介します。
この実験方法は滋賀大学の名誉教授の石上三雄教授から教えていただきました。
観察に使用する花は教科書でもおなじみのホウセンカです。
可愛い赤い花が目印です。実はこの段階で実験は始まっています。そして、ここを間違えると実験の成功率が激減してしまうんです。ホウセンカは開花直後や開花直前の花のほうが花粉の発芽率がいいことがわかっているそうです。そのため、実験前日に咲いている花はすべて取り除いておくそうです。実験当日に咲いている、もしくは咲きかけている花だけを実験に使用することで発芽率を大きく上げることができるのです。・・・知りませんでした(ー皿ー;)
※アフリカホウセンカ(インパチェンス)でも同様の実験は可能ですが、美しい花を咲かせるために品種改良をしているためか花粉が形成されなかったり花粉ができても発芽率が極端に低いものがあるそうです。
※ムラサキツユクサはホウセンカと比較して花粉が大きく、花粉管も太い。そのため、原形質流動が観察しやすいというメリットはあるが、午後には花がしぼんでしまい、観察する時間を考慮する必要があるなど扱いが難しいそうです。
ショ糖10g、寒天1gをビーカーに入れて水を加えて100mlにします。
電子レンジなどで加熱して溶かした後、ホットプレート上で湯煎して保持します。
寒天板をスポイトで扱うときは使い捨てのプラスチックのものを使用します。寒天が固まると取り除くは大変です。使用後は、すぐに熱湯を複数回出し入れすることで、寒天を洗い流すことができます。
寒天をスライドガラスに薄く広げます。
その上に10%のショ糖溶液を一滴落とします。
寒天板の完成です。
花粉を採取する時は、爪楊枝を使用すると便利です。先を少し折ることで花粉を取りやすくなります。
花粉が発芽、伸長するには少し時間がかかります。
乾燥を防ぐために、シャーレに濡らしたろ紙を置きます。爪楊枝を2本置き、その上にスライドガラスを置くことで乾燥を防ぐことができます。
花粉管が発芽しています。思ったより早く発芽しました。
「なんじゃこりゃー!」と思うほど花粉管が伸長しています。観察中も根の伸長で花粉が動きまわっていました。これは子どもたちも感動しますね。ということで滋賀大学名誉教授石上三雄先生の花粉管発芽と伸長を観察する方法でした。ぜひ授業でやってみてください。