国際理解教育で子どもにぜひやらせたい学習課題があります。それが今回紹介する「先進国と発展途上国」です。
「バナナと自動車」はクラスで行います。班を一つの国に見立てて、班対抗でお金をいくら儲けることができたかを勝負します。子どもには「先進国」や「発展途上国」という言葉は伝えずにゲームをします。何も持たない状態で図書室などで行うとよいと思います。教師は世界銀行の役割です。
世界銀行(教師)は各国(班)に封筒を配ります。封筒の中にはゲームの方法が書かれた紙とお金を儲けるための道具が入っています。この時、6班のうち2班をAグループ(先進国)、4班をBグループ(発展途上国)に分けておきます。※先進国を少なめにしておくのがポイントです。子どもにはグループによって入っているものが違うということは伏せておきます。
Aグループは先進国です。コンパスやハサミ、色鉛筆、スティックのりなどの道具とお金が1万円ほど入っています。ただし、白いプリント(資源)は少なめです。見本の車を元に型紙を使って車を一台作るごとに1万円で世界銀行が買い取ってくれます。
Bグループは発展途上国です。封筒に入っている道具は、ハサミと色鉛筆、バナナの型紙、スティックのり、500円と大量の白い紙です。先進国に比べると道具(設備)が整っていません。ただし、資源(白い紙)はたくさん入っています。バナナは世界銀行が100円で買い取ります。しかし、直径15cmの皿にバナナをのせると2000円で買い取ってくれます。・・・でも、コンパスも定規もありません。
※同じ発展途上国でも、班によってスティックのりさえ入っていなかったり、コンパスが入っていたり、お金を調整したりするとよりゲーム性が増します。
ゲームのポイントは一つ
教師はしゃべらない!
ついいろいろ喋りすぎてしまうのが教師の悪い癖です(笑)
「車の材料の紙はどこにあるんですか?」
「バナナの皿を作りたいけどコンパスが入っていません。」
「入ってあるお金は何に使うんですか?」
「バナナ安すぎませんか?」
「型紙を自分で作ってもいいんですか?」
などなど、子どもたちはすぐに質問をして答えを求めます。でもこの学習では先進国や発展途上国になりきって考えることが国際理解教育となります。
すべての質問に対して教師は世界銀行になりきり、
「自分の国で考えましょう。」
「お金持ちの国を目指しましょう。」
しか言う必要はありません。
はじめはAグループは黙々と車をつくり、Bグループは黙々とバナナを作りますが、しばらくすると一部の子どもたちが動き始めます。
自分たちで考えて動くことに意味があります。
道具が豊富な先進国、資源をどのようにして手に入れればいいでしょうか?お金で買う?コンパスをレンタルする代わりに紙をもらう?2つある色鉛筆のうち1本と交換している班もあります。
紙を重ねてバナナの大量生産をしていました。プランテーションですね(笑)
バナナは一つ100円です。いくら売ってもなかなかお金持ちにはなりません。一方車は1台10000円・・・差がありすぎる。これが先進国と発展途上国の現実ですね。50分をフルにつかってゲームをさせてください。どのような結果になるでしょうか?
ゲームが終わったら、現代会でどれだけお金をもっているかを班ごとに発表させます。
グループごとにいろいろな結果がでると面白いです。
ゲームを終えて、次の時間では発展途上国と先進国についてゲームの結果を通して学ばせます。ゲームを行うことで、先進国と発展途上国の間にある国際問題を「我が事」として学ぶことができます。
なぜ、先進国と発展途上国の差は埋まらないのか?それには二国間の様々な利益や不利益の問題があるのです。子どもたちには、国際理解教育の一貫としてぜひやってもらいたい学習です。