最近、休憩時間やシエスタ(お昼寝)の重要性が叫ばれるようになりました。経済協力開発機構(OECD)によれば、日本人の睡眠時間は平均7時間43分。調査対象26ヶ国の平均より30分以上少なく、韓国に次いで、世界で2番目に睡眠が短い国らしいです。そんな中、
日本でも仕事の効率アップのために昼寝を導入する会社が増えているようです。
ナイキ社やGoogle社では快眠マシーンまで導入しているようです。↓快眠マシーン・・・かっこいい!
今回はそんな昼寝が子どもの学力向上に繋がる可能性について考えてみたいと思います。なぜなら、国際学習到達度テスト(PISA)で
優秀な成績を残している地域の学校は、「休み時間」が多いようだという結果がでているからです。
各国の成績を見てみると、2009年、2012年と上海が「読解力・数学・科学」の科目においてトップ。アメリカと比較すると、2012年に両国の点数差は100点以上開く結果になりました。その理由を考察していくと、「休憩時間が学力に関係しているかもしれない。」ということがわかってきたのです。
中国の小学校はなんと
1日の40%が「休み時間」 。テキサス工科大学は、上海とアメリカで大きな差があった小学校の休み時間に着目しました。上海は40分授業の合間に10分間の休憩が入り、さらに昼休憩などもありました。
一方、アメリカの小学校は、授業の合間に休み時間が設定されていない学校が多く、1日の休み時間は平均して合計26分ほどでした。これは、全体の22%と、40%の上海と比べて約半分です。
これが、上海とアメリカの学力の差が休み時間の量に現れてあるのではないかと考えられる理由です。
「journal of school health」よると、休憩をとることは、子どもたちの集中力が増し、成績を上げるだけでなく、人間関係の構築にも良い影響を与えると報告しています。また、良好な人間関係の中では運動量も増えるので
健康面や身体能力の向上も期待できるとのこと。いいことづくめですね。これが本当なら、どの学校もすぐに休み時間を増やすべきです。
学力の差が休み時間によるものだと議論される一方、ワシントン・ポスト紙は上海の学校は「宿題が多い」ということを指摘しています。上海教育委員会のYi Houqin氏によると、生徒に与える宿題の設計、レビュー、分析、割り振りに毎日2〜5時間もの労力が費やされているそうです・・・先生にとっては大変ですね。しかし、その分生徒も宿題に対して意欲をもち、授業を終えたあとも数時間は宿題に取り組むそうです。学力は上がりますが、反面、家族間のコミュニケーションが減少するというマイナス面も報告されているようです。
上海とアメリカの学力差は「休み時間」によるものなのでしょうか?それとも「宿題の量」によるものなのでしょうか?うーん、わからないですね。学力は他にも地域、文化、経済力など様々な要素が絡み合ってくるので一概に「これが学力に繋がる」とは言えないと思います。確かに、宿題をする群と宿題をしない群では宿題をする群の方が学力が高いのは当たり前です。しかし、私たちが知りたいのはそんかことではなく、
「本当の意味での学力(生きる力)を育む最も良い方法はなにか?」
ということです。PISAも
「宿題は教育にとってほんの一部の要素でしかありません。そのほかにもバラエティ豊かな遊びやオンラインアクティビティ、ゲームなどから高い教養を身に着けています」
というコメントを残しています。
私個人の考えですが、休み時間を増やすことはやはり、学力(生きる力)の向上に繋がると思います。昔の子どもたちは、塾や習い事、そして場所に縛られることなく、遊びの中で様々なことを学ぶことができました。コミュニケーション能力、創意工夫する力、体力の向上、我慢する力、ルールを守る力、上下関係、言葉遣い、気配り、心配り・・・遊びの中で学べることは本当に多いと思います。
よく、今の子どもたちは昔に比べて3つの間が奪われているといいます。「時間・空間・仲間」です。
塾や習い事で時間を奪われました。彼らは残り少ない時間をどのように過ごそうか考えます。時間が少しでもある人を誘って数少なくなった遊び場所に集まります。しかし、かわいそうな彼らはみんなの遊び場所である公園ですらボール遊びを禁止されます。こうして空間を奪われました。困りきった彼らに救世主が現れます。それが携帯電話(スマホ)
です。時間と空間を奪われた彼らは仲間だけは奪われるまいとスマホを握りしめます。SNSに心のよりどころを求めますが、同じ時間と空間を共にしていない仲間なんて、スマホの上だけ、仮想空間だけの仲間関係です。上手くいくはずがありません。そして、ネット上でトラブルが増えます。今度は、親や学校がこれからは情報教育だと子どもからスマホを取り上げます。こうして一件落着。子どもは時間・空間・仲間を全て失いました。めでたしめでたし・・・
にしてしまってはアカーン!です!
しかし、これが現代の日本の学校教育における問題だと思います。そして、これらは昨今教師の間で問題になっている部活動に繋がります。教師は土日も部活をやって当たり前という考え方。(一部の保護者ですが・・・)これは反面、部活動に対する期待の表れだと思います。なぜなら、部活動は上に挙げた時間・空間・仲間を保証する活動だからです。それを潜在的に知っているから、保護者も子どもも部活動に対して過剰なまでの期待をしているのだと思います。しかし、教師にしてはたまったものではありません。(もちろん、部活を楽しんでいる教師もたくさんいます。)
教科には精通していても競技の指導についてはど素人(中学生で部活をしていた程度)にもかかわらず、保護者、生徒から本格的な指導を求められます。また、幼少時から複数での遊びが減り(集まってもゲーム機で個人遊び)人間関係の形成が不得意な子どもたち同士、もちろんケンカや諍いが起こります。ある意味、これこそが勉強の場所なのですが、今はすぐに顧問が飛んでいきます。なぜなら顧問が飛んでいかなければ保護者が飛んでくるからです(泣)こうして子どもの人間関係における学びの場(空間)が奪われ、教師の時間も奪われます・・・イイトコ無しですね(トホホ)結果子どもは、やっと見つけた時間・場所・仲間である部活動でもやはり、自分たちで人間関係を構成する力、自分たちで人間関係を修復する力をつけることなく大人になっていきます・・・うーん、かわいそうです。
ブラック企業が問題になっていますが、そうではない普通の会社でも3年続かない大人(子ども?)が増えているのはこういった原因が挙げられると感じます。NEETも同じですね。
ということで、ふたばの結論。
子どもに時間・場所・空間を用意する。(大人が関わらない)
ただし、これは閉じた場所ではなく開かれた場所でなければなりません。イジメが起きるのは学校という閉じた空間だからです。子どもに逃げ場所はありません。昔は「空き地や田んぼに集って遊んでいました」。嫌だったらいく必要はありません。そして、人に嫌がられる行動や言動をとる子どもは孤立していきます。そして「このままじゃだめだ」と学ぶのです。こうしてイジメっ子もイジメられっ子も立派な大人になっていくのです。
この記事を書きながら昔の日本をもう一度復活させたいと強く思いました。