10代の9割が「やばい」の意味を「すばらしい」という意味で使っているということが文化庁の調査でわかりました。
言葉の乱れと語彙の減少
出典:2015年9月読売新聞
言葉は時代と共に少しずつ変化していくものだということは理解できますが、「やばい」と「すばらしい」は全く逆の意味になってしまっています。「貴様」や「お前」も昔は丁寧な言い方だったのに今は汚い言葉です。「やばい」と同じようにいつからか逆の意味をもったのかもしれませんね。どちらにせよ、私は、考え方が古いのか「やばい」があまり綺麗な言葉とは思えません。
気にくわないことがあれば「ムカつく」、「ウザい」など自分が怒っている理由ではなく、感情を表す言葉を使う子どもが増えたように感じます。こういった問題はよく「言葉の乱れ」として問題視されますが、私は
「語彙の減少」と
「感情の未分化」に原因があると考えています。また、この2つは密接に関係性があり、相互に影響しあっていると考えています。今回は語彙の減少について書きたいと思います。
語彙の減少と感情表現
語彙の減少は深刻化していると思います。テレビやインターネットなどのメディアに囲まれ、たくさんの言葉の中で育っているはずなのになぜ語彙が少なくなってしまったのでしょうか?
第一に、乳幼児に話しかける言葉の数が減っていることが原因の一つだと思います。核家族化、離婚などで子育てが母親に集中する場合、母親にかかる育児ストレスは大きなものになります。また、仕事をしながら子育てをする女性も多く、保育所に子どもを迎えに行って家に帰ってきたときにはもうクタクタ。子どもに話しかける余裕もありません。そんな母親にとっての救世主がテレビやスマホです。子どもは一時的におとなしくなるかもしれません。しかし、テレビやスマホは情報を発信こそすれ、乳幼児がどれだけ話しかけても反応してくれません。母親にかまってほしい赤ちゃんにテレビをみせると、必死にテレビ話しかけよう(コミュニケーションをとろう)とします。しかし、テレビは赤ちゃんを無視し続けます。次第に赤ちゃんはコミュニケーションをとろうとすることを諦め、ただテレビの情報を「ボー」っと受けとるようになります。前に記事にした「蛍光灯ベビー」ですね。テレビやスマホは母親との双方向性のコミュニケーションの代わりにはなりえないのです。
第二に活字離れや感情表現を優先したテレビの影響です。テレビなどのマスメディアでは
「ヤバイ」「超」「マジ」
など、大げさな感情表現が溢れています。なぜテレビ番組はこのような表現を多用するのか?理由は視聴率をとるため•••テレビ局としては当たり前ですね。
子どもの語彙の低下にはこのようなテレビ番組の影響が少なくないと思います。そして、このような番組の視聴率が上がるのは大人に責任があるように思います。言葉は親や大人から学ぶしかありません。子どもは悪くないと感じました。
次回感情の未分化について書きたいと思います。