復習を効率よく行うためには10分程度の学習を繰り返す「さらっと復習」が効果的なようです。今回はその理由を調べてみました。
1、エビングハウスの忘却曲線
「エビングハウスの忘却曲線」によると、1度覚えたものは最初の24時間を乗り越えれば、1ヶ月後も5%くらいしか忘却しないということになります。大切なのは、最初の20分。そして、1時間。ここをいかに過ごすかが記憶に定着させられるかの分かれ目となります。では、定期的に復習を行った場合わ記憶の定着はどのように進むのでしょうか?下の図をみてください。
復習を定期的に行った場合、忘却率が、一旦リセットされるため、記憶に定着できるのです。
2、ザイアンス効果
1968年、アメリカの社会心理学者ロバート・ザイアンス(Robert Bolesław Zajonc)は、単純接触効果という理論を論文にまとめました。その内容は、接触回数を増やせば増やす程、ものごとに関する認知に変化を促すことができるというもの。わかりやすく言うと、何かを繰り返し見ることで、次第にその物事への印象が強くなるというものです。先日全国で選挙がありましたが、各候補者が駅前や、車で名前を繰り返し読み上げているのもこのためです。繰り返し耳に入れることが大切です。
3、短期記憶と長期記憶
時記憶は、「短期記憶」と「長期記憶」に分けられます。電話をかけようと覚えた電話番号。このような情報は、短期記憶を司る脳内の「海馬」に送られます。しかし、海馬は一時的にしか情報を保存できないため、記憶はすぐに消えてしまいます。このような記憶を
短期記憶と呼びます。
私たちは、生活しているだけで、毎日ものすごい量の情報が入ってきます。朝ごはんで食べたもの、新聞、昨日友達が着ていた服の色•••このような情報を全て覚えていたのでは脳がパンクしてしまいます。そのため、脳は情報を「覚えるものと覚えないもの」にわけているのです。
では、脳が覚えるもの、いわゆる「長期記憶」になる条件はなんなのでしょうか?長期記憶を司るのは、大脳皮質の「側頭連合野」という場所です。人は
睡眠時に必要な情報を取捨選択しています。基本的に覚えたことの5割以上は1時間のうちに忘れてしまうため、「忘れること」をベースとして考えた方がいいのだとか。そして、脳が「この情報は必要だ」と思うものはズバリ
「命に関わること」
です。たとえば、
「居眠り運転をして追突しそうになった」
「赤信号で渡ろうとしたら車にひかれそうになった」
「毛虫に刺されると大変」
などです。これらに比べると、「1603年に徳川家康が江戸幕府を開く」などは、知らなくても命に関わらないどうでもいい情報なのです。
このような脳にとってはどうでもいい情報を長期記憶に残すためには、脳に「これは命に関わる情報だ」と思わせる(だます)必要があります。
脳が命に関わる情報だと勘違いするのが
「繰り返し入力された情報」
なのです。
したがって、長期記憶に残したい場合、情報を繰り返し海馬に送ることで、海馬が「これは命に関わる大事な情報なんだ」と判断し、この情報を長期記憶に送ってくれるのです。
記憶には「反復学習」が重要なのです。
どうでしょうか。記憶のメカニズムを知ることで学習をより効果的に進めることができるはず。私も生徒に記憶のメカニズムを伝え、繰り返し学習を実践させたいと思いました。