葉の表裏の気孔の比較

気孔の観察はよく行われますが、葉の表裏で気孔の数が異なることはどうでしょうか?ワセリンを葉の表と裏に塗り、蒸散の差を調べることはありますが、実際に観察実験を通して学ぶことは少ないように思います。今回はそんな葉の表裏の気孔の数を観察実験を通して学ぶ方法をご紹介します。

この実験方法は滋賀大学の名誉教授の石上三雄教授から教えていただきました。

葉の表裏の気孔を比較して観察する方法

まず、使用する植物ですが、実験でもよくつかうツユクサです。

準備物

両面テープ、スライドガラス、ろ紙、カッター、ハサミ、柄付き針、ピンセット、厚紙

厚紙に両面テープをはりつけます。

ツユクサの葉を一枚とり、ハサミで半分に切り厚紙に両面テープで葉の裏側が手前を向くように貼り付けます。

葉の裏側に格子状の切れ込みを入れる

カッターで格子状の切り込みをいれると・・・

ピンセットで簡単に表皮をはがすことができます。

同様の作業を葉の表でも行います。

裏に比べると少し剥がしづらいですが、子どもでもできるはずです。切れ込みの筋が見えにくいときは、水を塗り、厚紙を凸型に丸めると線が見やすくなります。カッターを軽くあてるのがポイントです。

無事葉の表と裏の表皮が取れました。プレパラートをつくり観察してみます。

観察結果

葉の裏40倍

葉の裏100倍

葉の裏400倍

たくさんの気孔を観察することができました。

葉の表40倍

葉の表100倍

拡大した気孔

開いている気孔

閉じている気孔

絞り板付き顕微鏡では難易度が高いですが、酢酸カーミンで染色すれば、孔辺細胞の観察もできるそうです。その際は、酢酸カーミン液を一滴たらして、1分間待ってからカバーガラスをかけて観察を行ってください。

ということで滋賀大学名誉教授石上三雄先生の表裏の気孔の数を観察実験を通して調べる方法でした。実験を通して学ぶところに大きな意味があります。ぜひ授業でやってみてください。

窪田 一志

1986年生まれ、近畿大学農学部卒業、学びエイド認定鉄人講師、理科コア・サイエンス・ティーチャー(CST)養成課程修了、MIE(Microsoft Innovative Educator 2022)取得、Apple Teacher 家庭教師、個別指導、塾講師を経て、神奈川県で5年間中学校理科教師として勤務。現在は大阪府の公立中学校で理科の楽しさを子どもたちに伝えるため日々奮闘中。 教材や教具、デジタル教材の開発、効果的なICT機器の活用方法、カードゲームや問題解決を通してのコミュニケーション能力の育成など自らの実践に基づいた教育活動を展開中。 ブログのアクセス数は月10万pvを超え、中学理科の授業情報をまとめた書籍「100均グッズからICTまで 中学校理科アイテム&アイデア100」を明治図書から出版。また、ブログがアプリ化されるなど勢いのある教育研究者 兼 教育実践者。 先生向け情報サイト「ふたばのブログ」の他、反転学習や、家庭学習に利用できるオンライン学習サイト「ふたば塾」、中学理科の授業動画を中心としたYoutubeチャンネル「ふたば塾」を運営。 記事執筆、研修・講演依頼、書籍化についてはお問い合わせフォームからお願いします。 【著書】 100均グッズからICTまで 中学校理科アイテム&アイデア100[明治図書出版] 授業力&学級経営力2023年12月号(記事執筆)[明治図書出版] 【協力実績】 株式会社 NHKエデュケーショナル 国立科学博物館 株式会社Gakken 日本テレビ「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」 株式会社 朝日新聞社 企画事業本部文化事業部 株式会社 高純度化学研究所 株式会社 アスウム 株式会社 学映システム 株式会社リバネス(教育応援VOL55) 株式会社ジヤトコ 富山県教育委員会「とやま科学オリンピック」 東京学芸大学 理科教育学分野 高知大学教育学部附属小学校 横須賀市立浦賀中学校 田尻町立中学校 順不同 Apple Teacher MIE(Microsoft Innovative Educator)