ふたばのブログ〜理科教育と道徳教育を科学する〜

天王寺動物園で消化の大切さについて学ぶ

time 2017/10/12

今回は天王寺動物園の動物たちから消化について探っていきたいと思います。

大阪の中心でタイを感じる

こちらは天王寺動物園のアジアの熱帯雨林です。

タイの村をイメージして作られています。早速進んでいきましょう。
少し進むと何やら山肌の一部が削れている場所がありました。
ここはゾウの塩舐め場です。ゾウは土を食べることで塩分などの必要なミネラルをとります。ゾウは一番年上のメスがリーダーになる女系一家。良い塩舐め場は代々リーダーからリーダーへと語り継がれるそうです。
さらに進むとゾウの足跡がありました。30㎝以上あります。手前の足跡の中には踏み潰されたサソリが・・・サソリといえば、砂漠というイメージでしたが熱帯雨林にも住んでるんですね。
こちらは絞め殺しの木と呼ばれる恐ろしい木です。

弱肉強食なのは何も動物だけではありません。熱帯雨林には多くの植物がいます。地面付近は日当たりが悪いです。この植物は光を浴びるために恐ろしい作戦を立てます。種を取りに運ばせて他の植物の上に巻きます。種子から生えてきた植物は下にあるの植物に巻きついて育ちついにはその植物を完全に覆ってしまいます。中の植物が枯れてしまっても、自立できるしっかりした幹を作るようです。・・・こわっ。
ニシキヘビがらこちらを伺っていたので急いで次のエリアへ移動しました。
ここはゾウの水飲み場です。
タイのいい雰囲気がでてます。
小屋がありました。
この小屋は、ゾウを見張るためのものです。ゾウといえば温和なイメージがあるかもしれませんが、とても危険な生き物です。世界では毎年ゾウによって多くの死者がでています。動物園の死亡事故のトップもゾウです。うーん、知らなかった。勝手なイメージって怖いです。特に子連れのゾウは危険なので、絶対に近づいてはいけません。
ゾウは怖いんですね。飼育員さんもゾウには絶対に背中を見せないようにしているそうです。ゾウは賢いので背中を見せた一瞬を見逃さないそうです。
野生の力ですね。では、そろそろ本題に入ります。動物の消化について考えます。

ウシ目の凄さは消化にある

右がゾウの糞、左がサイの糞です。大きいです。フンをよく見ると食べた草が消化されずにそのままでてきています。ゾウは40%ほどしか消化できないそうです。セルロースを分解するのは大変なんですね。そのため、食べる量も大量、フンの量も大量になります。天王寺動物園のひろこさん(アジアゾウ)1日に60キロの糞をするそうです。このフンは学校や地元の企業で肥料として使われているそうです。
ではこちらのフンはなんという動物のものでしょうか?直径3㎝程。ゾウに比べるととても小さいです。
正解はキリン。ゾウに負けじ劣らない身体の大きさですがフンの大きさは完敗です。これはキリンの胃袋に特徴があるんです。キリンはウシ目に分類されます。
ウシと同じように上の前歯はありません。舌で草を巻き取るようにして食べます。
長い舌ですね。
ウシ目(偶蹄目)はウシ、イノシシ、ラクダ、カバの4つの仲間があります。蹄の数が偶数なのが特徴です。
↑牛の蹄。2つ(偶数)です。
牛の仲間の特徴。それは胃が4つに分かれていることです。
ゾウの消化率が40%と書きましたが、セルロースを分解することはとても大変です。ウシ目の仲間は4つの胃を作ることでこの問題を乗り越えました。胃の大きさは何とドラム缶一本(180リットル)以上です。この胃を使って草を分解するわけですが、草を分解するのはウシ、ではなくて微生物です。食べた草はまず第1胃に送られます。ここは大きな発酵タンク。ウシ目の仲間は胃にたくさんの微生物を繁殖させて草を分解させているのです。第1胃から第2胃に送られた草は、再度口に戻され、また唾液と混じり合い咀嚼されます。これを反芻(はんすう)といいます。牛がいつも、唾液まみれでモグモグしているのはそのためです。そういえば、ラクダやイノシシもよだれのイメージがありますね。何度も反芻を繰り返すうちに草は微生物に分解されて酢酸(お酢)になります。この酢酸をウシ目の仲間は吸収しているのです。・・・でもよく考えてみてください。お酢であんな大きな体を作ることはできないですよね。そのとおり、ではウシ目はタンパク質をどのようにして摂取しているのか。実は体内で草を発酵させるための微生物の死骸などを摂取しているんです。ひゃー!よくできてます。ウシは体内に養殖場をもっているということです。エサを与えて、繁殖させ死んだら吸収。微生物の生活環(誕生から死ぬまで)はとても短いのでとても理にかなっています。この仕組みのおかげでウシ目の仲間はとても繁栄しています。牛の体は微生物でできていたんですね。ウシ目おそるべし。

カバさんもウシの仲間

カバもウシ目の仲間です。蹄は4つ。偶数です。

image

カバの水槽にはティラピアがたくさん泳いでいました。カバは大食漢で水を汚すそうです。ティラピアはカバのフンを食べて水が汚れるのを防いでくれるんです。野生でも同じことが行われているようです。
こんなすごいウシ目をバカにするなよー!
恐れ入りました。

ウマ目の厳しい消化事情

ウシ目の繁栄に対して苦境に立たされているのがウマ目の仲間です。
これはシマウマのフンです。ウマ目は現在、ウマ、サイ、バクの3種類しか生き残っていません。しかも、サイもバクも絶滅が危惧されています。特にサイについては現在非常に危険な状態です。サイの急激な減少は人間による密猟が大きな原因です。ウマ目は奇蹄目と呼ばれていました。蹄が奇数なのが特徴です。
出典:wikipedia
馬の蹄は1つ。
出典:biglobe百科事典
サイの蹄は3つです。ウマ目とウシ目の生き残っている種の数がここまでちがうのは消化器官の違いにあると言われています。
これは馬の消化管です。ウマ目はウシ目と違い胃は1つしかありません。牛のように胃で微生物を分解することはできません。しかし、馬は牛と同じように草を食べて生きています。それではウマはどのようにして微生物を分解しているのでしょうか?上の図をよく見ると、とても発達しているものがあります。そう、盲腸です。馬は盲腸で微生物に草を分解させているんです。でも、盲腸で分解しても、盲腸の後には大腸と直腸しかありません。栄養の吸収は小腸の役割。大腸でも少しは吸収できますが、小腸に比べると効率は悪いです。馬は牛に比べて栄養の吸収がうまくないんです。これがウマ目がウシ目に比べて数を減らした理由だと考えられているのです。栄養を効率よく吸収できるかどうかは生物の生き残りに直結するということがわかります。「ダイエット、ダイエット」と栄養を吸収しないようにカロリー制限までしている人間とは大違いですね。ウシ目に押されているウマ目。でも、私は馬刺しが大好きです。負けるなウマ目!
負けるなサイ!
草を消化するのは大変だということがわかりました。

ウサギさんの生きるすべ

ウシ目には負けますが、ウマ目より工夫した消化方法を持つのが
ウサギの仲間です。ウサギも馬と同じく、一度消化管を通しただけでは消化しきれません。糞の中には分解したのに吸収しきれない栄養がたくさんあります。じゃあ、やることは一つですね。
いただきまーす♩
ということで、ウサギは自らの糞を食べることで栄養を吸収しているんです。食糞といいます。賢いですね。ウサギのフンと言えば、みな乾いたフンを想像すると思いますが、それは2回目のフンです。1回目のフンは湿っていて柔らかいそうです。肛門から直接食べてしまうので私たちが見ることは少ないんです。ちなみに、ウサギは野生ではニンジンを食べません。ピーターラビットや絵本のイメージですね。教育には間違えた情報を伝えてしまう危険があることがわかります。

間違ったイメージ

他にも
フクロウ
イメージ→年寄りで物知り
実際→どう猛で危険
ゾウ
イメージ→温和
実際→危険
パンダ
イメージ→かわいい、おとなしい
実際→クマです。
など間違いはたくさん。学校では正しい情報を伝えたいですね。

いい香りのウンチ

これは何のフンでしょう?ブログでは伝わらないですが、いい匂いがします。ユーカリの匂いです。
そうコアラのフンなんです。



出典:wikipedia
コアラは1日の大半を寝て過ごします。20時間も寝ているそうです。理由はコアラがユーカリの葉しか食べないからです。ユーカリの葉は毒があります。コアラは盲腸の細菌と酵素を使ってユーカリの毒を無害化して消化・吸収します。しかし、ユーカリの栄養素はごくわずか。しかも、吸収した養分の2割が毒の分解に使われるそうです。体力を温存するためにコアラは1日中寝ているんです。コアラは食料争いから抜ける代わりに、1日の大部分を寝ることになったんです。もしコアラが昼間から動き回ると栄養失調で死ぬそうです・・・ミステリアスです。ほかにも、ラッコは体温を維持するために一日中食べていなければならないなど、消化や食性から生物をみていくと面白い話はたくさんあります。子どもにいろいろ調べさせてもいいかもしれませんね。

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自己紹介

ふたば

ふたば

1986年生まれ、三十路超え 近畿大学農学部卒業、理科コア・サイエンス・ティーチャー(CST)養成過程修了、家庭教師、個別指導、塾講師を経て、神奈川県で5年間中学校理科教師として勤務。現在は大阪で理科の楽しさを子どもたちに伝えるため日々奮闘中。 教材や教具の開発、効果的なICT機器の活用方法、カードゲームや問題解決を通してのコミュニケーション能力の育成など自らの実践に基づいた教育活動を展開中。 ゆくゆくはこのブログの内容を本にしてまとめられたらと考えています。記事執筆、講演依頼、書籍化についてはお問い合わせフォームからお願いします。

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